パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

なぜマドレーヌ生地は休ませて、パウンドケーキ生地はすぐ焼くのか 2(材料をなじませる為か)

      2016/06/08

_MG_2986生地を休ませる理由の一つに、「材料をなじませる」という意見があります。

私としては、休ませる理由は前回記述したものだけ、と考えます。
正確には、材料をなじませるのに、休ませるほどの時間は要らない
と思います。

材料をなじませる為?

個々の材料をなじませるのに、
カレーなど、一つ一つの具材が大きいのであれば、時間はかかりますが、
一般的なマドレーヌ・パウンドケーキの材料は、大きくありません。

例えば、アーモンドプードルは、材料の中では、粒子が大きい方です。

ビスキュイジョコンドは、アーモンドプードルたっぷりの生地です。
なじませる必要があるのであれば、メレンゲを入れる前に、
十分に休ませなければならなくなります。

そして、マドレーヌには通常、アーモンドプードルが入りません。

材料をなじませるではなく、砂糖を溶かし切る

前回書いたように、砂糖が溶け残っていると、
生地が粗くなったように思えますし、
焼き色が、ところどころ斑点になったりします。

これは、溶け出したところは糖度が高くなるので、
濃い焼き色が付くからです。

なので、砂糖を溶かし切る意識が必要ですし、
その為には、材料や製法の見直しなども、要る時があります。

以上より、材料をなじませるには、生地作成中の時間で十分であり、
砂糖を溶かし切ることが、生地を均一にするために、
重要なことだと言えます。

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必要に応じて製法・配合を調整する

パウンドケーキに似た製法、配合のもので、
タルトに詰めたりするクレームダマンドがあります。

これは、一般的には作ってすぐタルトに絞り込みます。
しかし、プロの現場では、一度に沢山の量を仕込み、
必要に応じて、絞り込んで焼きます。

必然的に、生地を冷蔵庫で休ませていることになります。
しかし、冷蔵庫で引き締まった生地を、
ゴムべらなどでほぐして絞り込んでいるので、
作ったばかりのものと比べ、気泡が抜けてしまいます。

それで、膨らみが悪くなるのですが、それを前提にした配合となっています。
ですので、同じ配合で、作ったものをすぐ焼くと、
膨らみすぎたりしてしまいます。

他の生地でも同様ですが、
それぞれのレシピは、配合・製法・材料の種類・使用方法がセットです。
どれかが違うと、意図したものとは違うものになってしまう訳です。

※文中の前回の記事
なぜマドレーヌ生地は休ませて、パウンドケーキ生地はすぐ焼くのか 1

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