パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

東京でレモンケーキと言えば。

      2016/07/07

_MG_1237先週新発売したレモンケーキ『リモーネ シチリアーノ』

”レモンケーキ”を東京で買おうとすると、意外と見つからないものですね。
別のお店では、2軒しか手に入れることが出来ませんでした。

レモンケーキって、知名度ありますよね?
理由を考えてみたのですが、意外と「作りにくい」のだと思います。

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味がありきたり

レモンケーキは、生地にレモンの何かを入れます。
果汁であったり、皮のコンフィであったり。

以前の記事でも少し話していますが、レモンの酸は、生地にかなりの影響を与えます。
また、生地は水分も嫌うので、果汁をたっぷりとは入れることが出来ません。
ですので、通常はレモンのペーストを入れます。

こういう濃縮ペーストは、香料が入っていたり、着色料が入っていたりします。
私は、化学合成の香料がとても苦手です。
口のなかに香水を吹き付けられたような、ずっと放たれる臭いで、すぐ口をゆすぎたくなります。

生地にレモンの味を付けることは非常に難しく、
何とかしようとペーストなどを配合すれば、より食べられないものに退化します。

また、価格を安くするために、スポンジ仕立てなどにすれば、
上記の問題は、より深刻化します。
_MG_1232トゥルモンドでは、たっぷりと果汁を練り込むことが出来る生地の製法を、一から考えました。
これのおかげで、ペーストなどに頼らず、自然のものだけで、しっかりとした味わいと香りを実現しました。

あまりに上手くいきすぎて、生地だけでは酸っぱい、というところまで、味を付けることが出来ました。

さらに、練り込むだけでは飽き足らず、焼き上がり後に、表面にレモン果汁シロップまで塗っています。
これにより、加熱されていない清純な香りが、さわやかに香ります。

「溶ける」問題

_MG_1237表面は、グラスアローなどのシュガーコーティングか、ホワイトチョコレートで覆います。

グラスアローは、季節に関係なく溶けてしまうんです。しかも早ければ当日中に。
溶けないグラスアローというのは、プロの方でも、中々作られていないものです。

ですので、ホワイトチョコレートにする方も居ます。
グラスアローよりは溶けませんが、暖かい時期はもちろん駄目です。

チョコレートは、溶けるとか以前に、甘いですからね。味も強いし。
もはや、レモンチョコケーキになってしまいます。

というわけでトゥルモンドでは、溶けないグラスアローで、コーティングすることにしました。

これは、めったに見かけませんね。
これのおかげで、シャリシャリとした食感がいつでも味わえ、シュガーの程よい甘さと、キュンとするくらいのレモンの酸味が、とてもよい調和を生み出しています。

_MG_1040レモンケーキは、東京でも意外と見かけないですし、味も他店には絶対に負けない。
範囲を「ケーク オ シトロン」にまで広げても、トゥルモンドのレモンケーキ「リモーネ シチリアーノ」には、中々勝れるものはないでしょう。

あまりに自慢したく、ご自宅仕様のものまで作って、オンラインショップでも取扱い始めました。
ぜひ一度食べて、皆さんの中でレモンケーキブームが始まる事を、願っています。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

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