パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

その苺、オランダ産かもしれません。

   

_MG_9746国産の苺は、今の時期は「夏苺」と呼ばれるものが出回っています。
以前よりは、生産者の努力により、だいぶ美味しくなりました。

しかし、自然完熟の苺の味を知ってからは、「冬苺」のなかでも美味しいと思えるものが少ない状態なので、
お客様から求められない限りは、「夏苺」を使う気には、まだまだなれない現状です。

そんな中、「オランダ産の苺」が登場しました。
今年の夏から、色んな所で見かけるかもしれない苺です。
少し頂いたので、紹介したいと思います。

_MG_9738見た目はキレイですね。アメリカ産のような、ワイルドな感じはしません。
_MG_9746貰ったものが、特別良い状態ものもかは分かりませんが、ヘタ近くまで、キレイに赤色です。
_MG_9748断面も、国産と言われても分からない見た目です。

気になるのは、味ですね。
試食しましたが、見た目ほどの驚きはありませんでした。

ステビア栽培の苺のような味と香りだと思います。
ですが、国産のものと言われても、夏苺も進歩しましたね、と言って疑わない味です。

価格も高くないですし、この味と見た目だと、国産夏苺は、ちょっと打撃を受けてしまうかも、と思いました。

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ショートケーキにするには、
マンゴーやメロン、桃の方が、この時期は美味しいと思います。

東京の有名なお店でも、一年中、苺を使ってフレジエをやっているお店もありますし、そういう方々には、朗報かもしれません。

お子さまを喜ばせたいという親御さんには、私は全力で応援しますし、力になります。「夏に苺なんてありえない」とは思いません。

ですが、パティシエとしては、「苺だから美味しい」のではなくて「美味しいのは苺」としたく、
季節によっては、苺以外の方が美味しいというのを、舌で分からせたいと思っているんですよね。

そんな中のオランダ産苺は、国産夏苺生産者には、あまり嬉しくない事なのでしょうが、
より美味しいものを生産する、刺激となってくれれば良いな、とも思っています。

国産夏苺が美味しくなれば、パティシエの気持ちの矛盾も無くなりますからね。

という訳で、今年のクリスマスパンフ写真のケーキの苺は、大体オランダ産のものだという、
どうでもよい情報で、締めたいと思います。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

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