パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

ショートケーキは、店を表す

   

レビューを何点かご紹介します。




トゥルモンドのショートケーキは、とても良い評価を得ていると思っています(価格はさておき)。

スポンジ(ジェノワーズ)、苺、生クリームの3つしか構成が無く、ジャムやカスタードはもちろん、シロップさえ浸み込ませていません。

日本人好みのジェノワーズを作るのに、日本というのは、実は最上の環境です。
カステラからの、製法や設備の歴史があって、小麦粉も世界で最も種類があると言われています。

それで口どけのとても良いジェノワーズを作ることは可能です。
わざわざシロップを打つ必要はありません。

アルコールを香らせることもありますが、そもそもは、卵や生クリームの臭みを消すためで、現代であれば、卵や乳の良い風味を消さないようにする方が良いと思います。

また、果汁に頼らなくても良いように、フルーツの中でも優れたものを使うべきですね。

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ジェノワーズは、材料だけでなく、製法や管理も徹底しています。

苺は、農場で完熟された自然完熟のものです。
高価なだけでなく、量も少ないので、他店では同じものを使用することが、おそらくできません。

サンドも平たく置かず、縦に置いています。たっぷりと。
厚さも1cm以上あります。

生クリームの扱いだって、とても気を使っています。

氷煎につけるのはもちろんですが、まず冷蔵庫の設定は3℃。
使用温度は3~6℃。
8℃までいくようなら、すぐに冷蔵庫行きですし、10℃で使用不可です。

3つだけの構成というのは、トゥルモンドのケーキ作りを示しています。

飾りや構成の複雑さが無いので、新鮮み・斬新さが無いなどと評されることもあります。

そんなのに頼らない潔さや、材料費・人件費を、その3つで限られた材料の質と量を高めることに振り分けることを良しとしています。

そうすることでしか生まれない、上辺でない美味しさを、届け続けたいと思います。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

 - トゥルモンド