パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

【調査】保冷剤の効果 1

      2022/07/03

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ケーキを持ち帰る際に使われている『保冷剤』
この保冷剤の効果について、
一般の方はもとより、
私を含め、同業者の方々でも理解が足りないように思われます。

「お持ち帰り時間は、どのくらいですか?」

この言葉の返答具合により、「いくつ保冷剤を付けるか」が決まってきます。

どのお店でも、
1時間なら2個、2時間なら…みたいな決まりがありますが、
その個数の根拠となるものは、今まで聞いたことがなく、
「経験と勘」で決められているところが、ほとんどなはずです。

また、
そういう保冷剤を付けて、
ケーキの温度がどのくらいになっているか?なんて、
答えられる方は、ごくわずかでしょう。

調査開始

というわけで、調査してみました。(調査したのは7月です。)
まず、ホイップした生クリームを、
プラスチックカップに50g入れたものを用意。
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温度は6.6℃。
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これを、箱のサイズ、保冷剤の量、
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さらに、保冷シート、保冷バックの使用の条件も加え、
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屋外の日陰(気温30℃)で放置し、
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1、2時間後の生クリーム温度を測りました。
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結果

温度
プチガトー2個箱より、ホールケーキ箱の方が、
クリームの温度上昇が大きいのは、
箱に対して、いれた測定対象(生クリーム)が小さいためです。

それで、今回の実験でわかることは、

1.保冷剤の個数が多いほど、保冷時間は伸びる。
2.保冷剤を付けても、1時間足らずのうちに、ケーキの温度は、10℃以上に上昇している。
3.保冷バック、保冷シートともに、保冷効果はあるが、わずかである。

ということです。

2は、結構驚きの数値で、
ケーキが崩れるとか崩れないとか、それ以前の問題で、
美味しさに影響しています。

温度の上昇の時点で、風味は劣化するので、
冷蔵庫に入れて冷やしても、品質は戻りませんし、
温度が上昇したまま食べると、
甘さが強く感じるなどのことはもちろんの事、
作り手が意図しているものを味わう事は、できないでしょう。

3の保冷バックなどは、
もし使用するなら、保冷バックの中に、さらに保冷剤をたくさん入れると、
効果があるように思われます。

次回では、
「保冷剤を大きくするとどうか?」という実験をしていきます。

保冷実験記事一覧

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