『テリーヌ ショコラ』 2
2016/01/17
先日からリニューアル販売しております『テリーヌ ショコラ』。
生チョコレートを蒸し焼きしたような、
カカオの風味が濃厚なチョコレートケーキ。
たくさんのパティスリー、ショコラトリーで見ることができる『テリーヌ ショコラ』の中で、
一番美味しいものを作ろうと、
以前よりも、さらに研究を重ねてのリニューアルです。
まず、ショコラを変えました。
ショコラの最高峰と呼ばれる“ドモーリ社”のものから、
3種類をブレンド使用。
『アプリマク75%』
アプリマク産トリニタリオ種カカオ。
華やかでロマンティックな花の香り。
柑橘類やビターキャラメルの余韻をもつ繊細な風味。
『アリバ・ナシオナル75%』
アリバ高原と呼ばれるエクアドル北域産アリバ・ナシオナル種カカオ。
ジャスミンやシトラスの香りをあわせもつ爽やかなアロマ。
バナナや森林の空気を思わせる芳醇な風味。
この2種類でも十分美味しかったのですが、
もう少しだけカカオが欲しかったので、
『スルデルラゴ100%』
スル・デル・ラゴ産クリオロ系トリニタリオ種カカオ。
アーモンドやコーヒーを思わせる奥深いアロマ。
力強く余韻の長い濃厚な風味。
75%、100%というのはカカオ分のことですが、
100%はカカオマスなので、少量添加で、カカオの風味を強く出すことができます。
よく知らない方のために補足しておきますと、
カカオ分とは、カカオ由来の成分のことであり、
カカオマスとカカオバターの2つが該当します。
アプリマク、アリバの75%はともに、カカオマス約60%にカカオバター約15%を加えられています。
スルデルラゴの100%は、カカオマスのみで、カカオバターは添加されていません。
ショコラにおけるカカオの風味は、ほとんどがカカオマス由来のものです。
カカオマス自体も半分はカカオバターではあるのですが、
それのみだと口どけが悪いため、
カカオバターを追油します。
スルデルラゴ100%に、カカオバター、砂糖、乳化剤のレシチンを加えると、
『スルデルラゴ75%』が出来上がるイメージです。
ただショコラをドモーリにしたから美味しい、という訳ではなく、
菓子になったときに、しっかり風味が強いが、
くどくなく、重くなく、口どけ良くなどを、しっかりイメージして、
ルセットの調整をしなければなりません。
ドモーリのショコラは、有名なヴァローナのものの1.5倍くらいの価格がするので、
シェフが使わなければ、下のスタッフの方は、触れ合うことはないでしょう。
1.5倍美味しいとは言いませんが、1.5倍の価値はあります。
ここまでで、じゃあショコラをドモーリに変えれば、
最高のテリーヌショコラとなるのか?となりますが、
もちろん、全くそんな訳ではなく。
カカオマス、カカオバターの含有量、
バター、卵の量も重要ですし、
乳化をさせ、それを崩さず焼き上げる技術、
それに、水分量もしっかり検討しなくてはなりません。
他店でよく見るのは、
水分量が少ないのをよく見かけます。
切ったり、口に入れると、とにかくもろっとするし、
口の中で留まり続けるタイプです。
それを目指しているのかもしれませんが。
どの商品も自信がないわけではなく、
まあイメージ的にも、ナメられやすい(笑)当店ですが、
この『テリーヌ ショコラ』で言えば、
“超えられるものなら、超えてみろ”と胸を張っております。
(たくさんのシェフの方々、生意気言ってごめんなさい。仲良くしてください。)
おそらく『テリーヌ ショコラ』だけを作っていても、
この領域には達しなかったと思います。
一番経験になっているのは『トゥルモンド プリン』のようにも、思われます。
あとは、フィノデアロマの社長との出会いですかね。
ドモーリとはまた方向性が違いますが、
菓子にしたときのカカオ感は、すごく良いですよ。
あまり有名でないとか、価格が高くないとか、
そんな先入観は捨てたほうがよいですし、
業務用でのショコラは、それ単体で食べて判断するものではないです。
さて、そんなわけでの『テリーヌ ショコラ』ですが、
以前の違うショコラの時から、すでに固定ファンが結構いらっしゃいまして、
夏場でも欲しい!と要望されておりましたから、
今回のリニューアル販売は、夏でも関係なく開始しちゃいました。
涼しい部屋で、少しずつ食べてやってください。
ワインとかをお供に、素敵な時間になることを願ってます。