『アール』(タタン・バニーユ・くるみ)
2016/03/05
『アール』
・紅玉リンゴ タタン風
・バニラのバヴァロアーズ
・くるみのジョコンド
・シャンティ
・シュトロイゼル シナモン風味
タルトタタンをアレンジ
酸味の強いリンゴの紅玉を、
じっくりと焼き上げた“タルト・タタン”。
今回は、その単体で味わうのではなく、
他の仲間を加えて、ひとつのガトーに仕立てました。
カラメルを敷いて、その上に盛りだくさんの紅玉。少しの砂糖。
オーブンで約4時間火入れ。
ここまで凝縮されました。
さらにこ、電源を切ったオーブンの中で、一晩じっくり火を入れます。
赤黒く、最大限に旨味が凝縮されました。
リンゴとは思えない、芳醇な旨味と香りが。
これで作るタルトタタンも美味しいのですが、
今年はこれに、卵の味わいを加えたかったのです。
贅沢な量のバニラ
タタンの下は、バニラのバヴァロアーズです。
ただのバヴァロワではありません。
通常の2倍程の量のバニラが加えられています。
このガトーは、高さ(厚み)を持たせていません。
バヴァロアだけが主役ではない為、
この層を厚くするわけにはいかないからです。
バヴァロアの層を厚くすると、卵の味が強すぎます。
しかし、この薄さですと、バニラは林檎の引き立て役くらいにしか、
表現できません。
今回は、バニラも、卵やリンゴと同等に主張させたかったので、
たっぷり加えました。
薄い層なのに、口の中で、バニラと卵と林檎が、
主張し合いながらも、共存・調和します。
くるみをゴロゴロと
厚めに作るビスキュイジョコンドには、
くるみを粒を残したまま、入れています。
フードプロセッサーで、軽く刻んだのみとし、皮も入れています。
皮は、お菓子によっては外すのですが、
そのえぐみもさることながら、皮にしかない香りも大切にしたいのです。
余談:ジョコンド
ビスキュイジョコンドは、そのままでも美味しいものを使います。
当たり前のように聞こえますが、実はそうでもないのです。
特によくあるのが、アーモンドパウダーが少ない、スカスカの生地。
シロップを含ませる前提としているのですが、
そうにしたって、アーモンドパウダーをしっかり入れても、
充分含ませることが出来ます。
また、シロップを打つ時には、必然性が欲しいですね。
アールの場合は、アーモンドパウダーも、クルミも入っているので、
生地の結合具合が弱いです。
フォークが入りやすく、口の中ですっと散らばるという事です。
ですので、シロップ入りません。
シャンティとシュトロイゼル
シュトロイゼルとは、ボロボロした食感のサブレです。
シナモンを加え、程よく沖縄の塩(ぬちまーす)を加えています。
全体のちょっとしたアクセントとなっています。
ミルキーなシャンティも、林檎の酸味と相性が良いです。
紅玉の時期は、もうすぐ終わり
もちろんですが、紅玉あっての『アール』です。
紅玉の時期が、そろそろ終わりを迎えます。
タルトタタンも良いけれど、
独自性を出した構成も面白いですよね。
とはいえ、奇抜な感じではなく、実直な組み立てですので、
沢山の方に、気に入って頂けると思います。