パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

従来のコツを外したシュークリーム(『シュキュラン』 2)

      2016/03/16

パート1

シュークリームづくりのコツといえば、
形や内層を良く、大きさもよく膨らませる方法の事。

ですが、シュキュランの場合、
皮を、ある程度厚めにしたいという事から、
程よくしか膨らませない事を意識した結果、
従来のコツを、ほとんど無視する結果となりました。

生地の出来上がりは三角形にならない

出来上がりの見極めは、へらから垂らして三角形になるように、
と言われます。

しかし、厚めにするためには、生地自体が硬くなる必要があったため、
全く三角形になりません。
_MG_3594

糊化をしっかりさせない

※糊化の説明は文末に。
小麦粉に含まれるデンプンをしっかり糊化させる為に、
小麦粉を水分に投入した後、再加熱します。

目安としては鍋底に膜が張るまで、です。

この再加熱の過程を無くして、
ある程度しか膨らませないようにしました。

生地を冷凍状態のまま焼き始める

_MG_6928シュー生地は、実は冷凍状態のままからでも焼くことが出来ます。
しかし、解凍したものに比べ、膨らみは悪くなります。

これを利用して、冷凍の状態で、オーブンに入れています。

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水を吹きかけない

_MG_6922膨らみ切らない前に、表面が焼き固まってしまわないよう、
水を吹きかけてから焼きますが、
これも吹きかけないことにより、膨らませないようにしています。

下火を効かせない

_MG_6924業務用デッキオーブンでは、上からの熱(上火)、下からの熱(下火)を、
別々の温度にすることが出来ます。
それで、これも膨らみきる前に固まらないよう、
始めは上火を弱く、下火を強くします。

しかしこれも、最初から上火210℃、下火180℃で焼いていきます。
ちなみに、55分焼きます。

まとめ

シュー生地ひとつをとっても、
考え方の違いで、製法が異なってきます。
従来のコツも、コツで無くなることがあるのです。

次回は、シュキュラン独自のコツを見ていきますね。

糊化とは

糊化とは、デンプンが水と加熱によって、
糊(のり)状になる事です。

生地を焼くと、糊のおかげで膜となった層が、
水蒸気を包み込み、膨らむのです。

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