パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

『グラン カカオ』

   

_MG_8977『グラン カカオ』
しゅわっと溶ける、全く新しいガトーショコラができました。
小麦粉不使用で、南米カカオの強い風味。
常温でのお召し上がりがお勧めですが、
冷やしても、違った美味しさが楽しめます。

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トゥルモンドには、いわゆるチョコレートケーキが、
他にも有ります。
『テリーヌ ショコラ』と『ショコラ クラシック』です。

_MG_9027『テリーヌ ショコラ』は、空気を含ませず、ねっとりした口当たり。
生チョコレートのような食感です。

_MG_4862『ショコラ クラシック』は、卵を泡立てて、空気を含ませ、
生地の温度に気を付けながら、ふんわりと焼き上げます。

_MG_9105『グラン カカオ』は、しゅわっと口の中で溶ける、
ムースのようなガトーショコラが作れないか、というところから始まりました。

製法やレシピはもちろん、チョコレートの種類から研究を始めたので、
たっぷり時間がかかってしまいました。
_MG_8423

_MG_8425※いずれも、今回は使用せず。

それなりの量のカカオバターが入っていないと、
口の中で溶けた後に、そのまま残ってしまうということがあり、
しかし、カカオが強く感じないと、凡庸な風味になってしまいます。

ショコラの量を増やしていくと、生地が締まってしまい、しゅわっとした食感になりません。

製法で取り入れたのは、湯煎焼き。
_MG_9086じんわり焼くには、これしかありません。
プリンよりも、少し強いくらいのイメージで焼いていきます。

というのも、今回のチョコレート生地の固まる主な要素は、卵のタンパク質です。
小麦粉は配合していません。
_MG_9105焼いている時は、生地内の空気が温められて膨張しますが、
冷めていくのにつれて、生地は縮んでいきます。

小麦粉によって網目状に支えられないからです。
しかし、卵の支えは弱く、これがしゅわっとした食感の正体となります。

見た目としては、焼いている状態の、こんもりしたままが良いですが、
求める食感の為には、仕方ありません。

また、食感のアクセントとして、細かいアーモンドの入ったチョコレートを、
上部に薄く塗りました。

カップ状にしたのは、あまりに柔らかいからです。
フォークでなく、スプーンで、すっと入っていくくらいの柔らかさです。

常温でお召し上がりになるのがお勧めです。
本来のイメージは、常温です。
香りも、冷たいより、引き立ちます。

とはいえ、冷蔵状態でも、また違う美味しさが楽しめます。
少し重めのムースショコラといえば、想像できるでしょうか。
ガトーショコラとは、思えません。

また、同業者さんが嫉妬するスイーツが出来あがってしまいました。
食感もさることながら、しっかりとしたカカオの味も楽しんでください。

【合わせて読みたい】
・「 テリーヌショコラ」 記事一覧

・テリーヌショコラとガトーショコラの違い

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