パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

皆さんは、未成熟な洋梨ばかりを食べています。

   

yn洋梨が旬の時期です。
トゥルモンドでも、オーロラ、バートレット、バラード、グランドチャンピオンなどの品種の洋梨を、ショートケーキのフルーツとして、使用しています。

ル・レクチェも美味しいのですが、これが出回る頃には、苺に切り替わっているため、ショートケーキでは使用していません。

苺以外のショートケーキでは、メロン、マンゴー、白桃、洋梨を、旬次第でフルーツを切り替えています。
(他のパティスリーでは、イチジクや巨峰、マスカットなんていうのもありますね。)

それで、メロンは年を重ねるごとに人気が上がり、今では苺のシーズンでも、メロンは無いのかと要望されることが多いです。
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そんな中、洋梨の人気は、いまだに上がってきません。

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そこで今年から、ホールケーキでお悩みの方に、洋梨の試食を出し始めました。

そうすると、「洋梨って美味しい。」という声を多くいただくようになりました。

洋梨における先入観と言いますか、端的に言うと、皆さんの食べている洋梨が不味いのです。

ほとんどの方は、洋梨を未成熟のまま食べています。

_mg_3473洋梨は追熟が必要なフルーツです。

追熟の見極めには、洋梨を手のひらで包むようにして、全体を軽くそっと押し、張りの感じで行ないます。

そうして見極めても、中心の方が傷んだり、果肉に黒い斑点が出たり、しかもそれらは、外見からは分かりません。
10個に1個は、そういうものが出るそうです。
洋梨は、市場泣かせ、フルーツ屋泣かせのフルーツらしいです。

追熟が良い状態になったら、冷蔵保存しなければなりません。
過追熟すると、果肉がグズグズになってしまいます。

フルーツ屋さんで洋梨を買うと、追熟の目安を教えてくれると思います。
すぐに食べれる、というのは、なかなか出会えません。

そして、スーパーで販売されているものは、追熟が全く足りていません。

皆さんが洋梨というと、「ラ・フランス」が頭に浮かびますよね。

スーパーで買ってきて食べようとすると、
思ったより硬くて、ざらざらして、なんだか青臭い。
これだったら、和梨の方が美味しい、などという経験をしたことはありませんか?

これは追熟が足りないことと、そもそもラ・フランスは、少しざらつく食感をしているからです。

トゥルモンドでは、ラ・フランスは使用していません。
というのも、しっかり追熟させても、ざらざらするような食感は消えず、ショートケーキに合わないと思うからです。
香りは良いのですけどね。

スーパーでは、入口付近に野菜やフルーツを並べます。
季節感や新鮮さ、彩りなどの理由だそうです。

洋梨もどんと並べられます。
季節感もでますし、常温で長期間持ちますからね。

しかし、「追熟が必要です」という文言は、あまり見かけられません。
POPで小さくアドバイスされているくらいです。

おそらく、洋梨の本当の美味しさを知っている方が、少ないのではないでしょうか。
しっかりと完熟させた「完熟タイプ」を、付加価値を付けて販売しても良いと思うのですけどね。

とろける洋梨は、柿や和梨では味わえない美味しさがあります。

私がお勧めする洋梨は、オーロラ、バートレット、バラード、グランドチャンピオン、ル・レクチェです。
一番は、オーロラか、グランドチャンピオンですかね…。

苺になってしまう時期までの、季節限定の洋梨のショートケーキです。
フルーツ屋さんと一緒に頭を抱えながら、追熟させておりますので、ぜひお試しください。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

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