パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

ファーブルトンの生地をしっかり混ぜると

   

ファーブルトンを作るときに、『グルテンを出し過ぎると生地が膨らみすぎる』と教わってきました。それで、異様に膨らむときは、製法で混ぜすぎたときと思ってきました。しかし、わざとそういう製法をして試したことがなかったので、実際に試してみました。

「①普通の混ぜ方をしたもの」と「②グルテンが強く出る混ぜ方をしたもの」の2種を作って試します。

グルテンを強く出すときには、小麦粉に水分を加えてから、沢山混ぜることです。その時に、バターなどの油脂を加えると、グルテンの形成が阻害されます。しかし、油脂の量が少ないとあまり阻害されませんし、また、「阻害=形成されない」ではないことは、理解しておかなくてはなりません。

レシピは「プロ用レシピ」を使用しました。

【プロ用レシピ:ファーブルトン】

「①普通の混ぜ方をしたもの」

小麦粉に牛乳などの水分を混ぜた時

それに卵を混ぜた時

「②グルテンが強く出る混ぜ方をしたもの」

①と比べて、いずれの場合も、回数を多く混ぜています。普段はこんなに混ぜません。

それでは焼き比べます。まずは、仕込んだ当日に焼いたもの。

当日に焼くと、そもそも大きく膨らみやすいので、①も②も大きな差がありません。

次は、冷蔵庫で一晩休ませてから焼いてみます。

結果:ほぼ変わらない

沢山混ぜてしまうと膨らみすぎて失敗すると思ってましたし、グルテンが強く出て、というのも理にかなってますし、この結果は納得いかないのですが、実際やってみることが重要と感じた実験でした。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

 - ビアンベイク, ファーブルトン