パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

アガーとゼラチンの混ぜてゼリー作り?

   


ゼリーを作る時、アガー・ゼラチン・寒天などから凝固剤を選びます。
それぞれに特徴があり、良い点・悪い点があります。

そこで、アガーの良い点とゼラチンの良い点を合わせることが出来たら、という思いで、ふたつを混ぜて使用してみました。

結果から言うと、固まらなくなりました

作ってみたのはオレンジゼリーです。

まず、
オレンジ果汁を温め、アガーとゼラチンを加え80℃まで加熱。
いつもでしたら、固まるような少し粘度が出るのですが、全く出ず、冷やしても固まりません。

そこで、先にアガーだけ混ぜて加熱し、少し粘度が出る事を確認してからゼラチンを加えたところ、粘度が無くなり、固まらなくなってしまいました。

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そこで、専門の方に、伺いました。

アガーは、カラギーナンを主成分とするゲル化剤です。

カラギーナンは、酸性多糖類と呼ばれる物質の一種で、水に溶けると、マイナスの電荷を持つ、性質があります。

一方、ゼラチンは蛋白質であり、蛋白質の性質として等電点と呼ばれる、
そのpHより高いpHの場合にはマイナス、低いpHの場合にはプラスの電荷を持つ、pHポイントを持っています。

一般的なフルーツゼリーの場合、pH4.0以下の物が多いです。
アガーはマイナス、ゼラチン2はプラスの電荷を持つことになります。

そうすると、成分同士が反応(プラスとマイナスでひっついて)して、
水に溶けない状態となり、固まらなくなったり、酷い場合には沈殿したり、
あるいは、固まっても離水が多くなったりすることがあります。

また、紅茶などの中性のものであれば、アガーもゼラチンもマイナスで、しっかり固まるそうです。

アガーやゼラチンには、様々な種類があるので、用途や好みに合わせたい時には、使用する種類自体を変更するのが、良いみたいですね。

【合わせて読みたい】
・ゼリー(ジュレ)のゼラチンとアガーの使い分けと注意事項 1

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 - 製菓理論