国産の和栗が無くなる日。1
愛媛県産と熊本県産の和栗をたっぷり使った、『和栗のパウンドケーキ』。
『和栗のモンブラン』でも、同じ和栗を使っています。
日本最古の農業書といわれる「新民鑑月集」の農作物の種類の項に、かき・なし・ももなどともに栗が明記されていることから、16~17世紀には、すでに愛媛県では栗の栽培が行なわれていたようです。(参考…データベース『えひめの記憶』
そういう歴史があり、また風味においても世界に誇れる日本の栗が、危機に陥っています。
兵庫県
全国で、栗の収穫量は年々落ちており、
兵庫県で採れる「丹波栗」の収穫量は、1979年の413tをピークに、2006年には75tと、ピーク時からたった2割にまで、落ち込んでいます。
(参考…丹波栗の歴史:兵庫県)
熊本県
農林水産省の作況調査を見てみますと、
全国の収穫量が2008年が25,300tであったのに対し、
2014年には21,400tと、たった6年間で15%減少しています。
(参考…作況調査(果樹):農林水産省)
そして、翌年の2015年には16,300tと激減しています。
これは、全国2位の生産量を誇る熊本県の、2015年8月の台風15号の被害によるものです。
2014年の熊本県の出荷量は3450tであったのに対し、2015年は1200tと壊滅的です。
そして、2016年には熊本・大分地震です。
実を付けるまでにある程度の年数がかかるということがいわれています。
ほとんどの果樹苗は接ぎ木苗ですから植え付け後3年くらいで結実をします。
(隅田農園:実を付けるまでの年数は?)
という訳で、今後数年は、収穫量が少ないことが見込まれます。
愛媛県
では全国3位の愛媛県はどうなのかと。
2009年から15年まで年毎に、2300t、1870t、1580t、1930t、1590t、1540t、1360tとなっています。
たった7年で、半分近くにまで減少しています。
台風や地震など、直近では、特に大きい自然災害が見つかりません。
2004年の台風16号がそれにあたります。
結果樹面積は、2009年の2440haから2015年の2160haに減少しています。
大きい自然災害もないのに、全国3位の生産量が半分まで落ち込んでいるという、恐ろしい状況です。
ちなみに、落ち込んだ状態でも、全国3位です。
茨城県
栗の生産量1位の茨城県はどうでしょう。
こちらの小田喜商店さんがまとめてくださっているのが、分かりやすいです。
夏後半から秋いっぱいの、日照不足で 栗の実が肥大せず小粒で未熟な状態でした。早生より中生 さらに晩生と先に行けばいくほど品質が落ちた。
(小田喜商店:2015年栗の履歴
悪くなっていっているのが分かりやすいです。
以上が、国産の和栗の生産について、起こっている恐ろしい状況です。
次は、それによって、菓子店も含め、加工業ではどういう事態になっているのかを、お伝えしたいと思います。
【合わせて読みたい】
・『和栗のモンブラン』(和栗とビターショコラタルト)