パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

テリーヌショコラ失敗例

      2021/01/21

_MG_5202テリーヌショコラの作り方紹介で、「簡単、混ぜるだけ」と書かれていると、
ちょっと、もやっとします。
確かに混ぜるだけなんだけれども、
美味しく作る為には、本当に難しい。

簡単そうと思ってやると、失敗してしまうので、
ありがちな失敗例を説明しておきますね。

<大まかな製法>
・チョコレートを溶かす。
・それに、卵、粉糖を合わせ、乳化させる。
・薄力粉を合わせる。
・溶かしバター、赤ワインを順に加える。
・濾す。
・型に流し、湯煎焼きをする

分離

アマチュアの方が起こしてしまう“分離”。
パウンドケーキの作り方などのイメージから、
そもそも分離をしてはいけないと思っている方が、結構いらっしゃいます。

チョコレートに水分を入れると、
必ず分離します。
充分な水分があれば、
分離したのち、乳化が始まってきます。
不足していれば、分離したまま、
不足具合が大きいと、分離したまま、どんどん硬くなり熱を帯びます。

テリーヌショコラにおいては、
まず溶かしたチョコレートに、
25℃程度に温めた卵を加えていきます。

卵が冷たいと、チョコレートが固まってしまい、
乳化していく事はありません。

同様に、溶かしバター、赤ワインを加える時も、
温度に気を付け、撹拌しながら混ぜていけば、ほぼ乳化するでしょう。

全体の温度が低い、水分を徐々に加えていかない、
そもそもレシピが間違っている、
分離するのは、この3点くらいです。

固まらない

半生をイメージして、焼きが浅いといくらなんでも固まりません。
また、しっかりと硬さが出るのは、
冷蔵庫でしっかり冷えてから8~12時間後くらいです。

待ちきれず型から外そうとすると、後悔することとなります。

焼き過ぎ

表面が細かくひび割れ、
表面にふつふつとした水滴みたいなものが出てくる状態は、
焼き過ぎです。

食べられないことは無いですが、
冷やした後、断面に脂の白い塊ができているのが分かります。

食感も、ボソッとしてしまいます。

Sponsored Link

乳化が弱い

乳化が弱いと、焼き具合は良くても、表面に脂が浮きます。
焼いている間に、浮いていってしまうんです。
_MG_5202左のものは脂が浮いていますね。右がしっかりと乳化しているものです。

乳化には強い弱いがあります。
濾した後、ハンドブレンダ―(スティックミキサー)で、
しっかりと乳化を強くすることをお勧めします。
ハンドブレンダ―

ちなみに、私も上記のブラウンのハンドブレンダ―を使用しています。
高価なものを買う必要はありません。これで十分です。
しかしながら、チョコレートものには、かなりお世話になるので、
1本あって良いものです。

小麦粉が入っていない

「グルテンフリー」という謳い文句の為に、
小麦粉を入れないレシピもあります。
『テリーヌショコラ』(分量編)で、
小麦粉の配合率は、全体のたった1%です。
_MG_4834この大きいホールサイズで含まれている小麦粉は、
約2gだけで、カットサイズに至っては、約0.3gしか入っていません。
ですが、”つなぎ”の効果としては大きく、
滑らかな舌触りを実現できるんです。

まとめ

色んなパティスリー、ショコラトリーで販売をしており、
ローソンさんまで開始したので、
プロアマ問わず、作ってみようとする方は多いのではないでしょうか。

それなりのものは、結構早くできますが、
そこからが険しい道のりとなります。
ぜひ一度、トゥルモンドのものを食べてみてくださいね。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

 - テリーヌショコラ