パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

新しいシュークリームの新しいコツ(『シュキュラン』 3)

   

パート1/2

トゥルモンドのシュー生地を作ってみたい、
そういう試作をされる方に、コツを教えます。
パート1で材料の、パート2で製法のコツを紹介しましたが、
それ以外の細かいところを記述します。

しっかり焼き切る

_MG_3164右側が、デッキオーブンで55分焼いた後。
左側が、コンベクションオーブンで、さらに25分焼いた完成品です。

コンベクションオーブンに入れる前に、
穴をあけて、シューの中もしっかり焼き、乾燥させていきます。
焼き具合は少し強めですが、焦げ感が出ない範囲を目指します。

これにより、クリームを詰めて、ショーケースに入れておいても、
ちょうど良い具合にサクサク感が持続します。
ですので、詰めたての時だけサクサクなのではなく、
どこかにお土産に持って行って、
相手と一緒に、そのサクサクを楽しむことが出来るのです。

楕円形にする

_MG_1098皮に厚みがある為、
通常の山型では、食べづらくなります。
また、クリームもしっかり入れ込みたい為、
エクレア型では、それが困難になります。

ですので、その二つを組み合わせて、
食べやすく、クリームもしっかり入れ込める、
おはぎのような形にします。

その為には、棒状に絞った生地を、
固めた後、切っています。
_MG_1790

切れ目を入れる

_MG_3604シュー生地が厚く、強い為、
焼いているときに、少しでも弱い部分から、蒸気が出ていこうとします。

そこで、上面に切れ目を入れて、
なるべくそこに向かって膨れていってもらいます。

フランスパンのクープのようなイメージです。

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皮の重量は重め

通常のもの生地量は、1個15~20gくらいです。
ですが、シュキュランは370gに絞って10カットしているので、
1個35gくらいです。
_MG_1788
厚さも厚めで、クリームを入れ込みたいとなると、
これくらい量が多くなるのですね。

クリームは後ろから

シュークリームは、クリームを詰める為の穴があります。
食べる時に、そこからクリームが飛び出たりします。
_MG_7125シュキュランは、底からではなく、後ろからクリームを詰めてあります。
その方向から食べ始めると、クリームが飛び出ません。

まとめ

新しいコツ、と書きながら、
ほとんどが材料と製法のパートで書き上げておりました。

今まであるお菓子でも、自分の思う方向が変われば、
自在に変化させられる、技術と知識が必要ですね。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

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