イラストケーキ、キャラクターチョコは危ないですからね。
ピカチュウやディズニーなどの著作権のあるキャラクターを、
ケーキに描いたり、それでチョコプレートを作ったり、さらには立体的にしたりなど、ケーキ屋さんでよく行われています。
分かってはいると思うのですが、全てアウトです。
グレーな範囲ではありません。
これは気を付けてほしいのですよね。
版権元から指摘されなければセーフというものではありません。
こういう話をすると、同業の仲間を売る気か、と言われるかもしれませんが、そういうつもりは全くありません。
ケーキ屋さんには、そういうイラストものに頼っていると危ないですよ、と言いたいですし、
それをお願いするお客の皆さまにも、そんな危険な依頼をして欲しくないのです。
イラストやチョコプレートは大変
そもそもなのですが、イラストなどを作成するにあたって、利益は出ていません。
むしろ、大抵は赤字です。
イラストをケーキの上に描くにあたって、1台でも最低1時間はかかると思います。
もちろん2時間以上かかるものだって、たくさんあります。
しかも、描けるようなレベルを持つ人は、店舗でもシェフかそれに準じる人が基本です。
イラスト料金は、いくらでしょうか。
高くて¥2,000、大抵¥500~1,000ですよね。
という訳で、時間給さえ生み出すことが出来ません。
その人件費は、ホールケーキの利益から捻出されます。
ホールケーキだって、プチガトーが大きくなっただけなのですから、材料原価率は高めです。
というわけで、人件費を含めていくと、イラストはしない方が良い、という経営判断となります。
ですので、人件費を含めないんですね。残業まっしぐらです。
チョコプレートは、イラストよりも更に大変です。
しかも、材料もチョコなので更に高く、より高く料金を頂かないと、採算があってきません。
これらも全てサービスだから、とおっしゃる方もいらっしゃいます。
しかし、そういうイラストが無くなると、今度はケーキが売れなくなってしまいます。
イラストをどれだけ描いても、パティシエの技術は上がりません。
そうすると、そのスタッフの待遇も、高くないところで止まってしまうでしょう。
パティシエは育たない、待遇面から離れていってしまう事も考えられる、
利益は大きくならない、イラスト無しでは売れなくなってしまう等、
かなり危ない状況ではないでしょうか。
これで、どこかのケーキ屋さんが版権元とトラブルになったとすると…、
考えたくもないですよね。
先にも言った通り、同業のケーキ屋さんは、どのお店もうまくいってほしいと思っています。
できることなら、版権元の方々には見て見ぬふりをしてほしいですし、
お客様方には、イラスト料金は現在の倍以上で当然と思ってほしかったりします。
しかし、キャラクターの著作権が法律的にどうのこうの、と言うよりも、
自分が創作したお菓子のデザインや製法を、何の許可も無く、自由にまねをされると、やはり腹が立ちますよね。
キャラクターのデザイナーさん達も、私たちパティシエと同じく創作者です。
誇りがあるなら、相手の誇りも理解できるはずです。
という訳で、せっかくの誕生日ケーキには、そんな暗い部分が全くなく、
デザイナーさん達が、真似したい、取り入れたくなるようなデザインのケーキを、作っていきたいものですね。