パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

『ラクション』(レモン・マンゴー・蜂蜜・ピスタチオ・オレンジ・リモンチェッロ)

      2016/06/14

_MG_6303『ラクション』
・レモンとマンゴーのムース
・オレンジの果汁とリモンチェッロを含ませた、ピスタチオのビスキュイジョコンド
・ピスタチオとアーモンドとラム酒漬けレーズンが入った、蜂蜜のムース
・マンゴーとレモンのコンフィチュール

Sponsored Link

レモンとマンゴーのムース

レモンとマンゴーは、私が良く使う組み合わせです。
タルトシトロンやアフィーナのレモンクリーム(シトロンカード)にも、マンゴーを一部加えています。
20151018_bfa61b(画像は「アフィーナ」)

レモンは果肉の繊維質がほとんどなく、果糖も少ないです。
ここにマンゴーを入れることにより、それらが補えます。
また、砂糖で甘くするより、マンゴーで甘くする方が、フルーツらしさがよく出ます。

ただ酸っぱいというより、爽やかな酸味のムースというイメージが、この部分となります。

ピスタチオとアーモンドとラム酒漬けレーズンが入った、蜂蜜のムース

121℃に加熱した蜂蜜を、卵黄に加えてホイップ。
それに、ピスタチオとアーモンドのダイス、ラム酒漬けレーズン、生クリームを加えたムースです。

蜂蜜のムースと言っても、甘いだけのものではなく、
卵の旨味や、ナッツ、レーズン、ラム酒と、様々な食感、香り、味わいが、色々と織り交ぜられています。

オレンジの果汁とリモンチェッロを含ませた、ピスタチオのビスキュイジョコンド

ピスタチオのビスキュイジョコンドに、オレンジの果汁と、アマルフィー産レモンのリモンチェッロを浸み込ませてあります。
li※ルッソ リモンチェッロ(取扱い…宏洋株式会社)

2014年に販売しました「サヴァラン ルッソ リモンチェッロ」で愛用していたお酒です。
詳しくは『サヴァラン ルッソ リモンチェッロ』 1の記事をお読みください。

ピスタチオだけでも十分美味しいのですが、オレンジ果汁などを含ませることで、全体の瑞々しさがプラスされます。
レモンとは違う柑橘の風味を加える事で、香りに複雑さが出ます。

マンゴーとレモンのコンフィチュール

このコンフィチュールは、ムースの上面に薄く塗ってあります。
その上に、透明のナパージュを塗って艶出ししています。
_MG_0368
この手法は「フェリシテ」でも採用しています。
ムースの色は、意外と淡くなります。
その為、ナパージュでコーティングし、はっきりした色にしたりするのですが、ナパージュでそれを求めると、
艶が無くなったり、粘性が無くなったり、固まらなかったりなど、ナパージュの元々の目的さえ失ってしまいます。

それで、コンフィチュールを別に作る事で、色もはっきりと、味わいも自分好みのものをつくる事が可能となります。
ソース代わりになるので、表面のフルーツ、例えばパイナップルも、マンゴーソースに付けたパイナップルとなるので、
非常に美味しくなります。
_MG_0371
余談ですが、ケーキの上面に乗っているものを「ただの飾り」と思っている方が多いですが、
あそこも味の構成の一部です。
特に、冷凍できない、ケーキにまんべんなく散らすことが出来ない、そういうパーツを乗せています。
「ケーキの味をイメージさせるもの」という考えは、ひとつの考えであって、絶対的なものではありません。
オシャレなだけで、作るのに時間のかかる飾りを施すくらいなら、ケーキ部分のアクセントや味の引きたてになるような構成をすべきだと思っています。

まとめ

夏らしいケーキですが、トゥルモンドでは一年中販売しています。

夏には、とにかくさっぱりとしたケーキ、というものを作りがちですが、
ジュース、ゼリー、かき氷、アイスなど、様々な選択肢がある中で、ケーキを選ぶとするなら、という発想で良いと思います。
食べ応えのある、さっぱりとしたケーキという感じですかね。
ケーキを他の選択肢に寄せても、あまり意味は無いように思います。

また少し余談ですが、ショートケーキのチョコレートクリームバージョンが、今の時期、意外と人気です。
しかも、ホールケーキサイズですよ。
私は、全く問題なく食べますけど、一般の方でもそうだというのは、少し不思議ですね。

そのうち、noteで、レシピ公開すると思うのですが、その時はよろしくお願いします。
【追記】レシピ公開しました(2016.06.14)→こちら

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

 - プチガトー