【苺の食べ比べ】「ゆうべに」「とちおとめ」「さがほのか」「紅ほっぺ」「あまおう」 2
2016/12/21
前回は、苺をそのまま食べて比べました。
今回は、生クリーム(シャンティ)を付けて、食べ比べです。
生クリームを付けますと、印象ががらっと変わりました。
・果肉が柔らかく、生クリームよりも断然早く、口の中から消えてしまった。
そのまま食べた方が美味しく思えた。
「とちおとめ」
・程よい酸味と硬さが、生クリームを相まって、最後まで美味しかった。
「さがほのか」
・果肉が柔らかく、生クリームよりも早く、口の中から消えてしまった。
酸味も少ない為、乳脂肪の軽い生クリームと合わせたい気がした。
「職人のとちおとめ」
・程よい酸味と硬さに、甘さも際立って、甘さ控えめのシャンティと好相性だった。
「紅ほっぺ」
・酸味の少なさが、生クリームの中で主張できない原因となってしまった。
こちらも、軽い生クリームと合わせたい。
「あまおう」
・生クリームとの相性が、最もよかった。
甘さとはまた違う旨味が、生クリームの味わいを変えるほどであった。
そのまま食べると、少し強めな酸味も、生クリームと合わせると、必要十分と感じられた。
「あまおう」は「とちおとめ」よりも少し柔らかめですが、柔らかすぎる事は無く、その酸味や旨味もあって、生クリームの中で、しっかり主張した美味しさでした。
普段から、苺は「職人のとちおとめ」を使用して、クリスマス限定で「あまおう」を使っているので、
なんとも宣伝のような記事となってしまいました。
こだわりが強い為に、生産量が少なく知名度が低いけれど、抜群に美味しい苺が、全国に他にもたくさんあるでしょう。
他の方も使うようになると、トゥルモンドにまわってこない可能性もあるので、広めたくないのですが応援もしたい、というジレンマです。
ごくたまに、「ショートケーキは、苺(フルーツ)で勝負したくない」というパティシエさんがいらっしゃいます。
これが、苺の「美味しさ」を指すのか、「量・厚さ」を指すのかわかりません。
ショートケーキは、ジェノワーズとフルーツと生クリームと、基本的にはこの3点のみで構成されます。
また、ショートケーキまたはフレジエは、シュークリームなどとともに、日本では、その店の主役となる事が多いでしょう。
ですので、ジェノワーズでも勝負してるし、生クリームでも勝負してる。
もちろん、フルーツでも、勝負する。
更にいうと、その3点のバランスなどの完成度でも勝負する。
つまり、どの角度でも勝負するのが、普通なのではないでしょうか。
今、フルーツは、全般的に高値です。
お菓子に、良いフルーツ、こだわったフルーツを、さらに量もたっぷり使えば、材料費がとてもかかります。
自分たち菓子屋が、そうやってこだわらないくせに、日本のフルーツは美味しさが足りない、こだわりが足りないというのは、おかしなことです。
土壌が悪いなど、いつの時代の話をしているのでしょうか。
農家さんで言えば、客である人たちが、こだわりを分かってくれない、それなりの価格で購入してくれないから、こだわる事ができないのです。
私たちだって、購入者がこだわりを分かってくれないと、良いけど高値な材料を使えないじゃないですか。全く同じです。
日本の農家を潰しているのは、農家さん以外の全ての人ではないかな、と思います。
農家さんには儲かってほしい。
それで、よりこだわったり、自由に挑戦したりできる、お金と心の余裕があるようになってほしい。
そうすれば、私たちパティシエが、より美味しい、より面白い野菜や果実を手にすることが出来るでしょう。
嬉しい限りですよね。
という訳で、許す限りではありますが、最高の食材でお菓子を作っていきたいと思いますし、
生産者の方々への応援と感謝を、送りつづけていきたいと思います。
最後になりますが、私もこだわり続けていきたいので、ブログで満足しないで、ご来店してください(笑)
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