パティスリー・洋菓子店の元旦・正月三が日の営業はするべきか?
yahooニュースで、こういうものが挙がっていました。
ケーキ屋さんの元旦や正月三が日の営業について、考えを述べたいと思います。
『スタッフの為には、休んでほしい。』
東京でも、結構多くのパティスリーが、正月に営業しています。
(トゥルモンドは、1月5日からの営業です。)
売上としてはどうなのか。
とても忙しく、売上も大きいです。
お客様も特別な時期ですし、財布のひもも緩いようです。
そして、5日以降はどうなのか。
とても厳しいです(笑)
正月に休みを取ると、繁忙期とは思えないほど、1月の売上は落ち込みます。
パティスリーの正月のお菓子といえば「ガレット デ ロワ」。
フランスでは、早くは年末から、遅いと1月いっぱいまで店頭に並びます。
日本では、正月のお菓子と言いすぎて、1月初めだけの販売が多いように思います。
私も雰囲気として、1月10日まで、遅くても15日が限度かなと、思ってしまったりします(トゥルモンドでは用意が無いです。)。
ですので、「ガレット・デ・ロワというフランスの文化を伝える為に、正月営業するんだ」という考えは、ちょっと違う気がします。
1月中も堂々と販売すればよいと思いますし、フランスでは、1月1日は公共機関さえ休みです。
私が休んでほしい理由は、「スタッフの為に」。これだけです。
日本の文化がどうのこうの言うつもりは、ありません。
それを大切にしていない、と言う意味ではなくて、経営はそれぞれの自己責任になるので、他人が言う事ではないからです。
東京でパティシエとして働く9割は、実家暮らしではないでしょう。
片道30分で帰省できる人も、ほとんどいないでしょう。
さらに言うと、親御さん、兄弟・姉妹、親戚などが一堂に集まるタイミングで、顔を出せるのは、正月しかないじゃないですか。
お盆は、一堂には集まらないし、そもそも、その時には休めず、少しずれて夏休みとかにしてますよね。
私は、石川県の出身です。
往復で¥40,000程はかかりますし、飛行機を使っても、半日以上の移動時間となります。
薄給で、長時間労働が多いパティスリーでは、1回の帰省が、スタッフにとっては、どれだけ大変か分かりますよね。
というわけで、正月三が日くらいは、一斉に休んでほしいと思う訳です。
ちなみに、交代で休んでいるからとか、正月は外しているけど、冬休みを取っているから、というのは、また少し違います。
まず、元旦営業する場合には、大みそかにも用意しなければなりません。
そして、大みそかも忙しいのです。
そうすると、クリスマスが終わった後の、プチイベントの状態になっていて、クリスマス中から、心身はぐったりです。
正月を外してしまうと、兄弟・親戚など、一斉に集まれません。
中には、働ける・働きたいスタッフだけ、というお店もあるでしょう。
しかし、これもまた注意です。
イベント化してしまって、一度、年間の売上サイクルに入れてしまうと、もう外せなくなるからです。
正月三が日の売上を見込んでしまうのです。
例えを挙げると、お中元商戦があたるでしょう。
昔から、夏の売上の中心であったお中元が、今は壊滅状態です。
ですので、百貨店も含め、夏の売上の新しい軸を模索中ですが、中々あらわれません。
そうすると、夏の人件費のしわ寄せが、それ以外の時期の商品価格であったり、待遇にあらわれたり、してしまいます。
これらは、お店の都合ですが、スタッフの心情としても、注意です。
責任感の強いスタッフであればあるほど、こういう時に休みません。
本来、より大事にしなければならないスタッフです。
スタッフに優劣を付けるのはどうかと思いますが、実際、お店を大事にしてくれるスタッフを大事にするのは、至極当然かと思います。
また、そうでなくても、先輩やシェフが、ただの休日ではなく、正月に出勤している時に、羽を伸ばして三が日休める人は、そうそう居ないと思います。
まとめ
という訳で、元旦・三が日営業しているお店は、大変だな、と思っています。
そして、営業しているお店に行ってみようかな、とも思ったりするのですが、
販売スタッフの笑顔を想像すると、何となく気が引けて、いまだに伺ったことがありません。
一般の方々には、むしろどんどんお店に行ってほしいです。
お店を営業することに決めているオーナーのもとでは、それが唯一の救いにもなりますでしょうし。
正月ボーナスとかもあるかもなので。
それにしても、正月営業するところに、有名どころさんが多いのは、なぜなのでしょうか。
それこそ休める体力はあるでしょうし。
こういう時に「お客様の為に」と出してくるのは、好きじゃないです。
自分の身を粉にするのと、スタッフのもするのとは、全く違うからです。
家族を大切にして、大切にさせてあげてほしいと思う、お正月でした。