パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

国内産バターの不足 2

      2016/03/27

一般社団法人日本乳業協会で、資料をまとめてくださっていたので、
それらを、参考にしてみました。
http://www.nyukyou.jp/yearbook/dairyfarm.html
大元の資料は、農林水産省の畜産統計調査から来ています。
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tikusan/index.html
まず、今回のバター不足の件で、乳業メーカーさんがよくおっしゃっていた、
「北海道の酪農家が、昨年200戸あまり廃業した。」
との言葉は、どこから来ているのか、探してみました。

この資料「乳用牛の飼養戸数・頭数年次集計(全国、北海道、都府県)」からだと思います。
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3-2.jpg
平成23年度には、北海道だけで190戸、全国で900戸、減少しています。
22年度も170戸(全国で1,200戸)、
21年度も230戸(全国で1,300戸)減少しております。

それで、肝心の24、25年度のものは、日本乳業協会には載ってなかったので、大元の資料から抜粋。

24年度は、北海道7,270戸、全国で20,100戸に、
25年度は、北海道7,130戸、全国で19,400戸に減少しております。
というわけで、
24年度は、北海道230戸減、全国で900戸減、
25年度は、北海道140個減、全国で700個減、となっております。

以上より、乳用牛の飼養戸数は、年々減少しておりますが、
昨年がとりたてて、減少したわけではないようです。

ここで、疑問が生まれました。
平成20年度、全国で、24,400あった飼養戸数が、
25年度には、19,400にまで減り、
割合でいうと、5分の1の20%も減りました。

しかし
前回調べました、生乳生産量の推移をもう一度見ると、
gyu7
20年から25年では、生産量は6%ほどしか、減少していません。
その答えは、次の資料にありました。
「酪農家1戸あたりの平均飼養頭数」
2_20140611215218e18.jpg
(25年度は73.4頭)
「経産牛1頭あたりの推定乳量」
gyu8
先の日本乳業協会でも述べられておりますが、
http://www.nyukyou.jp/detail/farming01.html
「1戸あたりの飼育頭数が増えた」ことと、
「乳牛1頭あたりの乳量も増加した」ことにより、
平成20年から25年の間で、
酪農家戸数が20%減っても、生乳生産量は6%しか減っていない結果となりました。
というわけで、
「北海道の酪農家が、昨年200戸あまり廃業した。」の根拠は、
いまいち分かりませんでしたが、
やはり、今年のバター不足の事態は、
酪農家の減少が、直接的な原因では無いように思われます。

そうであれば、昨年も、一昨年も、バター不足であったはずで、
今年は、壊滅しているはずだからです。
もやもやした感じですが、
色々聞いてみたいと思います。。。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

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