その苺、オランダ産かもしれません。
国産の苺は、今の時期は「夏苺」と呼ばれるものが出回っています。
以前よりは、生産者の努力により、だいぶ美味しくなりました。
しかし、自然完熟の苺の味を知ってからは、「冬苺」のなかでも美味しいと思えるものが少ない状態なので、
お客様から求められない限りは、「夏苺」を使う気には、まだまだなれない現状です。
そんな中、「オランダ産の苺」が登場しました。
今年の夏から、色んな所で見かけるかもしれない苺です。
少し頂いたので、紹介したいと思います。
見た目はキレイですね。アメリカ産のような、ワイルドな感じはしません。
貰ったものが、特別良い状態ものもかは分かりませんが、ヘタ近くまで、キレイに赤色です。
断面も、国産と言われても分からない見た目です。
気になるのは、味ですね。
試食しましたが、見た目ほどの驚きはありませんでした。
ステビア栽培の苺のような味と香りだと思います。
ですが、国産のものと言われても、夏苺も進歩しましたね、と言って疑わない味です。
価格も高くないですし、この味と見た目だと、国産夏苺は、ちょっと打撃を受けてしまうかも、と思いました。
ショートケーキにするには、
マンゴーやメロン、桃の方が、この時期は美味しいと思います。
東京の有名なお店でも、一年中、苺を使ってフレジエをやっているお店もありますし、そういう方々には、朗報かもしれません。
お子さまを喜ばせたいという親御さんには、私は全力で応援しますし、力になります。「夏に苺なんてありえない」とは思いません。
ですが、パティシエとしては、「苺だから美味しい」のではなくて「美味しいのは苺」としたく、
季節によっては、苺以外の方が美味しいというのを、舌で分からせたいと思っているんですよね。
そんな中のオランダ産苺は、国産夏苺生産者には、あまり嬉しくない事なのでしょうが、
より美味しいものを生産する、刺激となってくれれば良いな、とも思っています。
国産夏苺が美味しくなれば、パティシエの気持ちの矛盾も無くなりますからね。
という訳で、今年のクリスマスパンフ写真のケーキの苺は、大体オランダ産のものだという、
どうでもよい情報で、締めたいと思います。