焦がしバターはどこまで焦がすか(ブール ノワゼット)
2016/06/22
フィナンシェに欠かせない、
焦がしバター(ブール ノワゼット)。
名前の由来は、ノワゼット(ヘーゼルナッツ)の香りがするくらいまで、
バターを色づかせることから。
なぜバターを焦がすのか。
それは、バターの乳風味を香ばしい風味に変える為です。
(実際、焦げているわけではない)
一般的な焦がし具合
どこまで焦がせば良いか、という問いには、
「香ばしい香りが立ってきたら」と言われます。
正しいのですが、とても感覚的な目安です。
ですので、人(シェフ)によってまちまちです。
ブールノワゼットを超えて、
かなり黒い色まで色づける方もいらっしゃいます。
フィナンシェにおける焦がしバターの位置
フィナンシェの材料の中では、
味を決めるものが、限られています。
・卵白
・砂糖
・アーモンドパウダー
・小麦粉
・焦がしバター
卵白、砂糖、小麦粉は、
かなり弱い味わいです。
砂糖にカソナードを加えたり、
蜂蜜を入れたり、バニラを加えたり、
色々付け加えることはできます。
しかし、基本のフィナンシェとして考える場合、
アーモンドパウダーと焦がしバターが、
味の決め手となります。
香りの決め手では?と思った方は、お菓子作りを良くされている方ですね。
ここが強く言いたいところです。
味の決め手です。
大事な沈殿物
焦がしバターを作った際に、
沈殿物が溜まりますよね。
バターは、脂肪が約80%を占め、
残りを水分やタンパク質、糖質などとなります。
澄ましバターを作ると、
黄色い脂肪分と
白い沈殿物(タンパク質等)に分かれます。
澄ましバターではその沈殿物を取り除きます。
そうすることにより、焦げることなく、素材の味を邪魔しない、
油脂が出来上がります。
味わいと言えば、香りはありますが、油そのものです。
旨味などは、どこにいってしまったのでしょう。
取り除いた沈殿物に、すべて含まれているんです。
澄ましバターをそのまま焦がしていったのが、焦がしバター。
つまり、焦がしバターの沈殿物は、旨味の固まりなのです。
推奨の焦がし具合
トゥルモンドでの焦がし具合です。
沈殿物が、程よく揚がった時点で、焦がし終了です。
この状態にして、沈殿物を食してみてください。
旨味そのものです。しかも揚がって、さらに美味しくなっています。
一緒に油部分も舐めてみてください。
香りはすれど、味がとても弱いことが分かります。
沈殿物を取り除いて、油だけを加えてしまうため、
味が弱く、油っぽく感じるフィナンシェになってしまうのです。
「苦みが出るので、沈殿物を捨ててください」というのは、
ただの焦がし過ぎです。
正しい焦がしバターの作り方
以上を踏まえると、油の色づきや香りだけでなく、
沈殿物の色づき、味も一緒に目安とできるので、
より分かりやすいのではないかな、と思います。
泡立ってきて、色づき始めたら、
火を止めて、余熱で色づきを進めます。
高温なので、油も沈殿物も、ゆっくりですが色づき続けます。
そこで、沈殿物をすくいながら、美味しそうなところで、
鍋底を水にあてれば完成です。
これで、フィナンシェの味が、ぐっと変わりますよ。