パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

なぜパティスリー(洋菓子店)は原価計算をしないのか。 2

   

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芸術家タイプ

「私が作ったケーキだから、○○円(高級価格)だ」というタイプです。
同じ材料で作っても、高級な価格になることは、よくあります。
それでより美味しく、素晴らしいものであって、需要と供給がマッチすれば、それでOKです。
それだけの自信を持って提供する、憧れの状態のひとつですね。

ピカソも、世界一高級な画材で絵を描いていた訳ではありません。

同じ材料であれば、基本的には他店よりも利益が大きい為、経営的には良い選択です。

鵜呑みタイプ

テレビなどのメディアに出る方々は、色んなイメージの為、建前を謳う事が良くあります。

前向きな歌と歌いつつ、自身の行動はそれに伴わない、みたいなものですかね。

「原価計算などはしません。皆さんが喜んで購入頂ける価格が、適正価格です。」
これを、鵜呑みにしてしまうのですね。

チョコレートの価格は1.5倍、アーモンドも2倍、バニラに至っては4倍になっているような原材料の状況なのに、
昔とそこまで価格が変わらないのであれば、利益が減少しているのが分かります。

さらに、味は軽めや薄めではなくしっかりとした、香りも強く華やかであれば、良い品質のものを、多く詰め込まなくてはなりません。

そうしたら、しっかり計算しないと、合わなくなってしまいます。

日々に追われタイプ

これは、結構多いタイプです。
作る仕事が膨大なため、原価計算に手が回らない状況です。

作らなければならないのは、損益分岐点に対し、求める平均売上が少ないとか、
廃棄数が多すぎるとか、まあ色々ありますが、
要するに利益が少ない、というのが一番多い理由です。

ですので、本来は、だからこそ原価計算をしなければならないのです。
売っているものの原価が分からなければ、経営戦略なんて立てられないでしょう。

もし、廃棄数が少なく、それでいて利益が少なく、原価計算さえする余裕が無い、というのであれば、
思い切って価格を上げてください。おそらく時間が出来てきます。

廃棄数が多いのであれば、種類を絞るなどして、効率よく生産数を少なくし、時間を作ってください。

3に続く。

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https://note.mu/sakashita

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