パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

生クリーム(クレーム シャンティ)を扱う温度

   

_MG_0958泡立てた生クリーム(以下、シャンティ)を扱うのに必要なのは、技術はもちろんですが、一番は心配りです。
不慣れなパティシエが扱う際には、本来は、一度に作業する量を減らさなくてはなりません。

ですが、効率とか何やらで、「ボソボソにならなければ大丈夫。」と思っている方が多く、長時間、常温に生クリームが出ていたりします。
氷水に浸けているからと、安心している方も多いですよね。

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大体冷蔵庫から出したての生クリームは、4~5℃位かと思います。
_MG_0947(見づらいですけど、4.0℃)
もちろんこれは、ある程度ホイップして、冷蔵庫で休ませていたシャンティです。

室温23℃くらいですと、
_MG_0952表面温度は9.0℃でした。

これを、使いたい硬さまでさらに泡立てると、
_MG_0958あっという間に6.6℃です(見づらい…)。

シャンティの入ったボウルを、氷の入ったボウルに浸けることを、「氷煎につける」と言いますが、
冷えるのは氷煎に接している部分だけで、室温と触れている部分の温度上昇は、激しいです。

経験上、シャンティは10℃を超えると、味・作業性に多大な影響が出ます。
8℃を超えないように、努めて作業する意識が必要です。
それよりも低くできれば、よりよいです。

脂肪球の大きさを揃えていない生クリームをお使いの方々は、
温度管理には、よりシビアに気を配らないといけません。

_MG_0723本来、シャンティは、くどいものではないんですよ。
夏場でも、涼しい部屋で、しっかり冷やしてあれば、とても口どけよく、
組みわせるフルーツなどによっては、冬とはまた違った美味しさを、味わう事が可能です。

ですが、扱っている時からシャンティにダメージを与え、お持ち帰り時にも温度上昇させれば、
どんな良い生クリームだとしても、脂っぽく、くどく感じるものに変化してしまいます。

シャンティを扱う際には、もっと温度に敏感に、美味しさを気にしましょう。
そして、お客様にも、保冷剤の効果も含めて、美味しく召し上がって頂けるようなアドバイスをしていきたいものですね。

【合わせて読みたい】
・【調査】保冷剤の効果 1

・【実験】 発泡スチロールの保冷効果

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