トゥルモンドの仕事の進め方
パティスリーによって、仕事の進め方は違います。
広い大きなところでは仕方がないですが、部門別に分かれているところが多いです。
ムースなどを作ってケーキを作ったり、簡単なチョコレートのお菓子を作る“ムース場(アントルメ)”。
クッキー生地やパイ生地、クロワッサンなどのヴェノワズリー等を作る”ラミノワ”。
大きくこんな感じで分担されています。
呼称が違ったり、さらに細かい分類、専門部署があったりします。
それぞれの部署で、だいたい3年ほど就くのではないでしょうか。
1、2年だと、その店のレシピを一通り作れるというだけで、それを発展できるような、細かい理解はできません。
分担制でも、垣根を越えて相談したり、自分の仕事を早く終わらせて、積極的に他の部署を手伝いに行き、
色んな作業をして、経験を積むことが必要だと思います。
しかし、そこは今の人たちという感じで、手を差し伸べないと、動きません。
ですので、経験年数が5年あっても、ケーキを一通り作れる人は結構少ないです。
(作れるというのは、プロの作業感で、プロのお店で販売できる範囲のものを作れる、という意味。)
全体の作業の理解が無いと、ケーキに関連性が生まれず、進化していく事はあり得ません。
例えば、ムース場でケーキを一種作るとします。
スポンジにシロップが浸み込みやす過ぎる、または浸み込み無さ過ぎる、と思っても、
どう変化させていいか分かりません。
そもそも、今回のは○○だな、と思うだけで、変化させようとも、思わないかもしれません。
焼き場からすると、生地がちゃんと焼けたかどうか、くらいで、どういう状態がケーキにとっては良いか、分かりません。
何でもかんでも、ふんわり焼くことが正しい訳ではありません。
というわけで、全部署の仕事が見れる環境と、そうでない環境では、一つのお菓子の理解度に差が出ることが多いです。
これが、パティシエが中々育たない理由の一つだと思います。
作業効率としては、短期的には良いのですが。
そこでトゥルモンドは、基本的に全員で同じ作業をする、というようにしています。
クッキーを焼くのも、ムースを作るのも、ひとりでやる事は、まず無いです。
先輩に作業の仕方や、製法や細かい状態の違いなど、見聞きしながら作業します。
計量だけ、という仕事もありません。
オーブン補助、みたいな役割の上下もありません。
計量ミスもしやすいですし、計量ロボではありません。
(参考…計量ミスをしない方法 1)
また、オーブンからラミノワまで、全ての作業が出来る環境なので、
「スポンジも、こういう風に焼き上げることによって、ムースと組み立てた時に、こういう調和が生まれる。」、
「こうやって組み立てた時に、デメリットがあるから、クッキー生地の配合を変更した方が良いのでは無いか。」、
ケーキの全体像を考えながらの作業をすることが出来ます。
でも本当は、これは当たり前の事なんです。
シェフ一人だけで作るとすれば、必ず考えています。
だから、作るごとに進化させられるし、色んな新しいものを生み出せます。
このドヤ顔している、うちのチーフパティシエールのはっしーは、トゥルモンドの5年生です。
入社当時は、ほとんど何もできませんでした。
それが今では全てのお菓子を作れるのはもちろん、ウェディングケーキも作りますし、新作ケーキの試作中だったりします。
販売員としても、お店で1、2を争います。
分担制でもそうでなくとも、良いところ・悪いところはありますが、
もっとも成長できる環境にしたいと思っています。
それと並行しつつ、短い労働時間にしていきたいと努めています。
もっとパティシエ業界が、他業界から憧れる存在になっていってほしいなと、願っています。