パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

パウンドケーキの型はどれを使うか

      2016/10/13

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最近の傾向

最近のパティスリーでは、パウンドケーキの型はスリム型が多いです。

材質:ブリキ

材質:ステンレス

スタイリッシュで、火入れも早い事が人気の理由です。
ショーケースに表面が飾られたケークを、良く見かけます。

火入れが早いというのは、
通常のものでは作れないレシピも存在しそうですね。
その点は、大きなメリットだと思います。

ですが私は、このスリム型があまり好みではありません。

食べる部分が少ない

スリムパウンドでカット売りされているのを、たまに購入しますが、
物足りないです。
厚さも厚くて2cmくらいですが、食べた気がしません。
試食した感じです。
ホールで買えば良いのでしょうが、
一人で色々な種類を買いたいです。

お店側としても、小さいと単価取れませんし、
4~5㎝に厚くスライスしても、
ちょうど良い包材が無かったりします。

ブランデーケーキが作れない

作れないことは無いのですが、細いケークを、
全面にお酒のシロップに浸すことは難しく、
またこれも、カットサイズだと、
ブランデーケーキの周りと中央のコントラストという、
大事な表現ができません。

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剥離用に小麦粉を打たなければならない

パウンドケーキが型から外れるように、
バターを塗って小麦粉(強力粉)をはたいておくか、
紙を一枚敷いておかなければなりません。
それか、型自体にテフロン加工を施しておくか。

このスリム型だと、紙がかなり敷きこみづらいとのこと。
テフロン加工するのは高価ですし。

また、紙だと、どうしても寄ってしまって、しわができます。
スタイリッシュにする為には、その辺も気になるので、
綺麗にでる粉うち(ブーレ ファリネ)を選びます。

私は紙派なので、敷きこみづらいのは苦手です。

推奨のパウンド型

私が使っているのはこちらです。

クイーンローズ 18-0 パウンドケーキ型 小
材質:ステンレス
※サイズを小にしました。

あえて、商品まで指定した理由は、専用の敷紙があるからです。

パウンドケーキ型用敷紙(30枚入) 小専用

一般の方はそれほどでもないと思いますが、
プロ、特にまだ若手の方々は、この良さ分かりますよね。
セパレーター(ベーキングペーパー)などを切らなくて済むんですよ(笑)。
ああいう微妙な手間は、できるだけ無くしたいですよね。

手間がかかる以前に、強力粉をはたくのは、
あまりしたくありません。
それは、また今度記事にします。

材質は何を選ぶか

ブリキ、ステンレス、テフロン、ガラスなど、
材質は様々です。
選ぶポイントによって、変わりますが、
私は、模様などがある(凹凸がある)ものでないのであれば、
ステンレスを推奨します。

熱伝導が良くないとか言われますが、プロのオーブンで、
そんなに関係ありません。
型の厚さも厚くないですし、
下火が均一にならないのであれば、鉄板を重ねるなり、
方法はいろいろあります。

むしろブリキの鉄臭さの方が、気になります。
生地の種類にもよりますが、水分多めのものは、
その匂いがより吸着されます。

その点、ステンレスはそんな心配が要りません。
また、軽い、割れない、オーブンで空焼き(乾かす)ことも可能なのは、
メリット多いです。

しかも、価格も高価ではありません。
一般の方においても、型で多少の違いは出るでしょうが、
それよりも、配合や製法の方に、美味しく焼ける理由が詰まってますので、
道具揃えに、お金をかけない方がベターかと思います。

「 パウンドケーキの作り方 」まとめ

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

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