パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

ブランデーケーキ・ラムケーキの熟成(ススメ 4)

      2016/03/07

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ブランデーケーキ・ラムケーキは、作った後、
何日後から美味しく食べれるようになるのでしょうか。

熟成の効果

ブランデーケーキ・ラムケーキは、
寝かせる(熟成させる)ほど美味しくなる、と言われています。
熟成の効果は、以下の2つです。

1.生地とお酒(シロップ)がじんわりなじんでいく。
2.お酒の感じ方がまろやかになる。

生地とお酒(シロップ)がじんわりなじんでいく。

作成時にシロップを浸すのですが、
まだ中心部と周りとでは、かなり差があります。
日を置くと、これが、じんわり中心に向かってなじんでいきます。

これは、浸すシロップの量にもよりますし、
生地のレシピやシロップの濃度などでも違いがあります。

お酒の感じ方がまろやかになる。

浸したお酒のアルコールが多少抜けて、
まろやかになったように感じるようになります。

しかしこれは、お酒の熟成が進むからではありません

お酒の熟成がそんなに簡単に進むのであれば、
もともと長期間の熟成をさせてから、出荷する必要がありません。

アルコールが揮発して、食べやすくなったように感じるだけなのです。
劣化という方が、近いかと思われます。

ですので、最初からしっかり熟成され、まろやかなお酒を使用すれば、
寝かしておく必要はありません。

なぜ寝かしておく工程が、広く認知されているかというと、
おそらく、製菓用ブランデーと呼ばれるもの中で、
あまり質の良くない(比較的安価)ものを使うレシピが、
広まってしまったからではないでしょうか。

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例えばこういうお酒を使う

トゥルモンドで使用しているブランデー、ラム酒は、以下の通りです。

グッドリン・アルマニャックブランデー・ナポレオン
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グッドリン社は、最も品質の良いアルマニャックが生産されるとされる、
バ・アルマニャック地域のクランサンに位置し、
伝統的な高品質のアルマニャックを提供しています。
最高のテロワールが、上品な味わい深いアルマニャックを生み出しています。

マイヤーズラム・プランターズパンチ
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ラム原酒をイギリスでじっくりと長期熟成させた、
ヘビーラムのプレミアム品。
華やかな風味とサトウキビの甘さを感じさせる芳香で、
ジャマイカンヘビーラムの代名詞として世界中で愛飲されています。

※引用元―ともに宏洋株式会社HP

どちらも口に含んだ第一印象が、すっと入り込んできて、
滑らかに盛り上がるようなお酒です。
第一印象がとげとげしいなと思うお酒は、
熟成が若いか、質の良くないお酒です。

そしてトゥルモンドでは、下記の工程をとります。

1日目 焼き上げて、お酒を浸し、ラップして一晩寝かせる。
2日目 包装して、1日寝かせる。
3日目 販売開始。

寝かしておくことのデメリット

寝かしておくことには、デメリットも存在します。
それは、生地自体の劣化です。

脱酸素剤を入れて包装したり、
アルコール分が高ければ、長期間の保存は可能ですが、
小麦粉の劣化はどんどん進んだり、
風味の劣化は止まりません。

まとめ

使用するお酒は加熱することは無いので、
良し悪しがそのまま残ります。
良いお酒を使うと、期待にしっかり応えてくれますよ。

それでは、次回は分量編にいきたいと思います。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

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