パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

『アール』(タタン・バニーユ・くるみ)

      2016/03/05

_MG_4790『アール』
・紅玉リンゴ タタン風
・バニラのバヴァロアーズ
・くるみのジョコンド
・シャンティ
・シュトロイゼル シナモン風味

タルトタタンをアレンジ

酸味の強いリンゴの紅玉を、
じっくりと焼き上げた“タルト・タタン”。

今回は、その単体で味わうのではなく、
他の仲間を加えて、ひとつのガトーに仕立てました。

_MG_3877カラメルを敷いて、その上に盛りだくさんの紅玉。少しの砂糖。

_MG_3881オーブンで約4時間火入れ。

_MG_3917ここまで凝縮されました。
さらにこ、電源を切ったオーブンの中で、一晩じっくり火を入れます。

_MG_3954赤黒く、最大限に旨味が凝縮されました。

_MG_3960リンゴとは思えない、芳醇な旨味と香りが。

これで作るタルトタタンも美味しいのですが、
今年はこれに、卵の味わいを加えたかったのです。

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贅沢な量のバニラ

タタンの下は、バニラのバヴァロアーズです。
ただのバヴァロワではありません。

通常の2倍程の量のバニラが加えられています。

このガトーは、高さ(厚み)を持たせていません。
バヴァロアだけが主役ではない為、
この層を厚くするわけにはいかないからです。

バヴァロアの層を厚くすると、卵の味が強すぎます。

しかし、この薄さですと、バニラは林檎の引き立て役くらいにしか、
表現できません。
今回は、バニラも、卵やリンゴと同等に主張させたかったので、
たっぷり加えました。

薄い層なのに、口の中で、バニラと卵と林檎が、
主張し合いながらも、共存・調和します。

くるみをゴロゴロと

厚めに作るビスキュイジョコンドには、
くるみを粒を残したまま、入れています。
フードプロセッサーで、軽く刻んだのみとし、皮も入れています。

皮は、お菓子によっては外すのですが、
そのえぐみもさることながら、皮にしかない香りも大切にしたいのです。

余談:ジョコンド

ビスキュイジョコンドは、そのままでも美味しいものを使います。
当たり前のように聞こえますが、実はそうでもないのです。

特によくあるのが、アーモンドパウダーが少ない、スカスカの生地。
シロップを含ませる前提としているのですが、
そうにしたって、アーモンドパウダーをしっかり入れても、
充分含ませることが出来ます。

また、シロップを打つ時には、必然性が欲しいですね。

アールの場合は、アーモンドパウダーも、クルミも入っているので、
生地の結合具合が弱いです。
フォークが入りやすく、口の中ですっと散らばるという事です。
ですので、シロップ入りません。

シャンティとシュトロイゼル

シュトロイゼルとは、ボロボロした食感のサブレです。
シナモンを加え、程よく沖縄の塩(ぬちまーす)を加えています。
全体のちょっとしたアクセントとなっています。

ミルキーなシャンティも、林檎の酸味と相性が良いです。

紅玉の時期は、もうすぐ終わり

もちろんですが、紅玉あっての『アール』です。
紅玉の時期が、そろそろ終わりを迎えます。
タルトタタンも良いけれど、
独自性を出した構成も面白いですよね。

とはいえ、奇抜な感じではなく、実直な組み立てですので、
沢山の方に、気に入って頂けると思います。

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