パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

ガトーショコラでテンパリングをする必要はあるのか?

      2016/03/15

_MG_4622チョコレートといえば、テンパリングをする必要がある、
と思っておられる方が、結構いらっしゃいます。

先に言ってしまいますと、ガトーショコラを作る際のチョコレートは、
テンパリングをする必要がありません。

テンパリングを行なったとして

テンパリングの基礎知識は、こちらで学んで頂きたいです。
それで、特にパート2のこの部分が重要です。

安定性の良い細かい構造の結晶は、
約30℃付近で出来てきます。

約40℃まで一旦上昇させ、結晶を全て分解させます。
その後冷却し、粗いもの、細かいものを作り始めます。

そして再加熱することで、
融点の低い粗い結晶は、分解されて、細かい結晶だけが残り、
それが核となって、全体が細かい結晶の構造となる仕組みです。

ですので、再加熱後、温度を上げ過ぎると、
細かい結晶まで分解されて、
核となる結晶が無くなり、バラバラに固まってしまうのです。

テンパリングを行なったチョコレートを加えたとしても、
40℃以上になると、結晶が全て分解されます。

焼いている間に、生地はさすがに40℃以上にはなります。
そうでないと、卵も固まりません。

Sponsored Link

焼菓子でもムースでも

焼菓子に加えるときは、上記の理由から、テンパリングを行ないません。
また、テンパリングを行なったチョコレートを冷やすと、
行なっていないものに比べ、早く固まります。

カカオ分にもよりますが、15℃以下では急速に固まっていきます。
なので、基本的に冷たいムースには、
チョコレートが固まってしまい、上手く混ざりません。

材料のひとつとして使うには

チョコレート単体ではなく、
ガナッシュや焼菓子、ムースなどを作る場合に、
気にするのは、テンパリングではなく乳化の方です。

口どけ良く滑らかにするためには、乳化が必須なので、
それぞれのレシピに従って、しっかり作りこんでくださいね。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

 - 製菓理論