フィナンシェの焦がしバター(ブールノワゼット)の作り方
焦がしバターの作り方です。
ここからフィナンシェが始まります。
間違ったことを覚えていると、この時点で美味しさが半減します。
「焦がしバターはどこまで焦がすか(ブール ノワゼット)」という記事でも、焦がしバターの事をお話ししましたが、今回は、作っている流れを撮影できたので、それとともに説明します。
使うバターの種類
発酵バターと非発酵バター(いわゆる普通の無塩バター)のどちらを使うか、ということですが、これはどちらでも構いません。
好みで良いと思います。
フランスが発酵バターだからといって、それにこだわる必要はありません。
ちなみに、日本の発酵バターは、フランスのものより発酵の香りが強いです。
フランスは非発酵のものは無く、発酵バターしかありません。香りもまろやか、おだやかです。
おそらく、日本には、もともと非発酵バターが存在し、発酵の香りがまろやかだと、非発酵のものとの差異が少なく、市場に受け入れられないからではないでしょうか。
という訳ですが、トゥルモンドでは、『フィナンシェ バニーユ エクセラン』では発酵バターのみで、他のものは、発酵バターと非発酵バターを2:1で混ぜて焦がしています。
加熱する
18ポンドのバターで作ります。1ポンドのバターは450gのバターの事を指します(実際は約453gが1ポンド)。
初めのうちは、白い泡のようなものが表面を覆いますが、
次第に膜っぽい状態に変わり、やがて透明になります。
透明になると、色づいてきますので、ここからは混ぜ続けた方が良いです。
表面に浮き上がる膜は、熱によって分離し、凝固したタンパク質です。
牛乳のそれと、同じものです。
さらに過熱していくと、茶色く色づいた粉のようなものが浮遊するようになり、表面にも浮き上がってきます。
これは、蛋白質などが固まって、加熱で色づいたものです。
そして、これが焦がしバターの味に関わる、重要な旨味です。
便宜上、このたんぱく質などのものを、沈殿物とします。
この辺から、この沈殿物の色を見ながら、加熱を調整します。
まだ薄めだったものが、出来上がりになると、
これくらい、良い揚げ具合となります。
焦がしバターの色の判断は、シェフによりまちまちで、教えられたスタッフも、まちまちになりやすいです。
上手くいかなくても、フィナンシェの生地自体が失敗になることはありませんので、スタッフ自体は、正解を出しにくいのです。
トゥルモンドの判断基準はと言うと、この沈殿物がしっかりとした揚げ具合で、焦げていない範囲です。
沈殿物をなめて、美味しいと思える範囲ですね。
次回は、この流れで「フィナンシェ バニーユ エクセラン」を作りましたので、それをご紹介したいと思います。
【合わせて読みたい】
・焦がしバターはどこまで焦がすか(ブール ノワゼット)