パティシエを目指す方に、始めてほしい、たった一つの事。
パティシエを目指している、現在、中学生、高校生、専門学校生の方に、始めてほしい事がひとつだけあります。
今日からできる、たったひとつです。
それは「料理をする」、これだけです。
家庭の料理を手伝ったり、自炊するのも含まれますね。
若いパティシエは、包丁・ナイフを使うことが下手すぎです。
プロの現場で「切る」というのは、思い通りに、早く、正確に切るという意味で、
ナイフを持って、何かを切断する、というレベルの意味ではありません。
お店に応募してくる方たちは、専門学校を卒業している方がほとんどですが、
一般の方にお見せできない位、悲しいレベルです。
「練習しなさい。」「努力しなさい。」と言っても、彼らが必要に迫られなければ、思うレベルには、中々到達してくれません。
ですので最近は、フルーツを多く使った商品を作っています。
レベルが上がるような環境を整えるのも、大切なことかなと思っています。
とはいえ、練習ではないので、しっかり商品とし、利益を出していくのも、腕の見せ所ですね。
購入する側とすれば、フルーツ色々、盛りだくさんというのは、一部の方を除いては、やはり嬉しいことでしょう。
そうすると、「パティシエのレベルは上がる」し、「お客様も喜ぶ」のであれば、良いことづくめです。
問題は、フルーツの価格が高い事なんですよね。
この辺は、何ともしがたいところです。
というわけで、お店に入るまでに、ナイフくらい、自在に操ってほしいのですよね。
ガタガタだし、等分に切れないし、遅いし、手は切るし…(苦笑)。
専門学校卒で、こんなものです。
一般の方からすると、専門学校って、それこそ専門の学校で、厳しい世界を想像しませんか?
厳しくすると、生徒が辞めてしまうらしいですよ。“しまう”というのに、違和感たっぷりですが。
ついてこれないものは、退学しても仕方がない、というのは、イメージだけです。
専門学校同士で、レベルの競い合いをしてほしく、
「○○専門学校の卒業生なら、技術が高そうだ」ということで、企業が卒業生を取り合いになる、というのを目指して欲しいですね。
少し毒を吐いてしまったのですが、「レベルを上げる=厳しくする」というのは、少し違います。
というわけで、専門学校の方へは、例えばこんな取り組みはいかがでしょう。
コンフィチュールを炊く
フルーツを沢山切るとなると、これが良いですね。
ひたすら切ります。
飾りに使えるレベルでのカット技術で切らせます。
それでコンフィチュール作りなら、販売も簡単ですし、保存もきく。
作ること自体が、大いに勉強になりますし。
ジャム瓶を逆さにする人も、居なくなるはず。
また、農家さんから、市場に回せないB級品を、それなりの価格で買い取リ続けて頂ければ、フルーツを作る地盤も良くなるでしょう。
専門学校などでも、仕事後・放課後に練習しておきなさいよ、といっても、中々レベルは上がらないんですよね。
必然的に上がるような取り組みをしてほしいですね。
トゥルモンドが、ショートケーキをプチガトーサイズを、
正方形や長方形にしないで、丸のものをカットしているのも、
実は、スタッフがナッペをする回数を維持してあげる為でもあります。
四角はナッペをしないので、ナッペの技術は上がらないんです。
トゥルモンドのスタッフより、ナッペが上手くないシェフも、意外とごろごろ居ます。
専門学校では、ジェノワーズをとにかくたくさん作らせて、フルーツを挟まず、4層くらいにスポンジをスライスさせて、生クリームのサンド、ナッペ、それをカット。
これを安く販売するなどして、経費負担としない。
すでにやっていらっしゃるとも思うのですが、実務をどんどんさせて、本当の力をつけてあげてほしいなと願っています。
すこし脱線してしまいましたが、ナイフが使えるというのは、パティシエとしては一番最初に求められる事ではないか、と思います。
(接客とかは、別の話。)
いきなりフルーツを切らせない、なんていうお店もあるでしょうけど、
それは大抵、ナイフが使えないから。
ナイフが使いこなせるくらい、手先を動かすことに慣れていたら、ケーキの仕上げなども、難なくこなせるでしょうし。
高校生までなら、ナッペや絞りなんて、気にしなくていいから、ナイフを使いこなしてほしい。
それで、火を扱うことのも慣れてもらえれば、さらに良い。
そして、お金もかからず、お母さん大助かりの料理の手伝い、始めない理由はないですね。
専門学校に行くか行かないかは、取りあえず横に置いておいて、
学校に行くなら、もちろん多額の費用がかかりますし、行かなくても、引っ越しなどで、ある程度の費用がかかるでしょう。
それらを親御さんにお願いするなら、それなりの意思表明と行動で示す必要があると思います。
そんな観点からも是非お勧めな行動です。
今夜から、ぜひ実行してみてくださいね。