テリーヌショコラを温めると、フォンダンショコラになりま……。
ドモーリ社のチョコレートを使用し、赤ワインも香らせた、トゥルモンドの『テリーヌショコラ』。
おかげさまで、大変よくご購入頂いております。
たまに、「温めると、フォンダンショコラみたいになりますか?」と聞かれます。
テリーヌショコラを、電子レンジで温めてみます。
すると、こんな感じになります。
表面に紙を載せますと、脂をたっぷり吸います。
柔らかくはなるので、指で押してみます。
さて、いかがでしょうか。
食べる気がしませんね。
フォンダンショコラのように、溶けないのです。
『テリーヌショコラ』(製法編)で、テリーヌショコラの材料を紹介しておりますが、テリーヌショコラは生チョコ(ガナッシュ)ではありません。
卵が入っています。
しかも、蒸し焼きにしているので、卵は凝固しています。
プリンも焼く前は液体ですけど、熱凝固した後は、温めてもソース状にはならないですよね。
それと同じです。
しかも、テリーヌショコラは、バターが入っています。
しっかり乳化状態で固まっているものは、滑らかさを演出してくれます。
しかし、固まった後に熱を加えると、油脂は液状になって流れ出します。
その結果、画像のように、ギトギトの脂がにじんで、油っぽくはなるわ、滑らかさは失われるわで、全く美味しくなくなる訳です。
販売当初から、この質問は頂くのですが、おそらく他店で販売されている、
というような謳い文句が、関係しているのだと思います。
これは、味の事を考えると、あり得ない文言となっています。
甘さ
甘さは、温かいと強く、冷たいと弱く感じます。
ジュースがぬるいと、甘く感じるのと同じですね。
それで、プロは、食べて頂きたい温度に合わせて、甘さを調整しています。
どの温度でも、食べる事はできるでしょうけど、感じてほしいバランスは、ひとつのはずなのです。
ちなみに、トゥルモンドのテリーヌショコラは、冷やしたままを推奨しています。
バター
小麦粉が配合されてなく、バターだけが配合されていた場合、
冷え固まった後、加熱をすると、液状になって流れ出します。
バターの入ったガナッシュは、再加熱すると、分離した状態で溶けだします。
これは、とても美味しくない状態です。
フォンダンショコラで、その辺を分かっていない方々は、中のガナッシュにバターを入れます。
温めると、ガナッシュが溶けますが、バターは分離しています。
フォンダンショコラは、滑らかなチョコレートソースを出すものです。
という訳で、テリーヌショコラやガトーショコラは、卵やバターが入っているので、フォンダンショコラにはならないのです。
補足で言いますと、もともと加熱不足なだけのガトーショコラがあったりしますが、
再加熱で溶けだしても、チョコ、分離したバター、加熱不足の卵が混ざり合ったソース状の何かなんて、美味しい訳ないじゃないですか。
トゥルモンドでは、クラシックショコラも、テリーヌショコラも、フォンダンショコラ(フォンダンショコラ)もあります。
それぞれ、イメージした味の濃さや香りや食感があります。
それによって、形や配合が変わるのは、至極当然だと思います。
「一つで三度美味しい」みたいな、お得感に騙されないようにしてください。
それは、どれにおいても、完璧を目指していない、中途半端なものなだけです。
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