『サヴァラン ルッソ リモンチェッロ』 1
2016/08/05
美味しいお酒をご紹介いただきまして、
“ルッソ リモンチェッロ”
アマルフィー産レモンのみを使用して作られる、贅沢なリモンチェッロ(レモンのリキュール)です。
これをご紹介頂いたのは、4月末。
言い過ぎかもしれないですけど、このお酒に衝撃を受けまして、
私のアルコール感が変わってしまったとも言える、思い出のあるリキュールです。
文章で表現すると伝えにくいため、実際に手に入れて欲しいと思うのですが、
単体で飲むと、ふんわりとしたレモンの香りですし、
レモンのお菓子に加えると、レモンにもう一回りのレモンを薫らせることができます。
製菓業界は、昔に比べ、アルコールを使わない流れになってきてました。
お客様も、アルコールは、使っているか、使ってないか、という判断しかされません。
私も20代の頃のアルコール感で言えば、
香りを付ける、または補う為で、入れすぎるとツンとするよね、という感じでした。
そんな中身が空っぽの引き出ししかない私は、一からの勉強をすることとなり、
このリモンチェッロを活かした菓子が出来上がるまで、
3ヵ月もかかってしまいました。
たくさんのしかばね(試作)も累々と。
その間に、なじみのある、ラム酒やキルシュ酒の方が、新商品としてデビューしていったのでした。
さて、それで最終的にサヴァラン仕立て、となったのですが、
もともと、うちのスタッフにサヴァラン嫌いの女性がおりまして、
私の中身不足と、サヴァラン嫌いゆえのハードルの高さと、試作は、かなり困難を極めてしまいました。
とりあえず、ブリオッシュに吸わせるシロのルセットですが、
シチリア産オレンジ果汁 2004
シチリア産レモン果汁 150
ミネラルウォーター 116
グラニュー糖 285.6
ルッソリモンチェッロ 424.8
トリプルセック 80
これで、36個分です。
このリモンチェッロはとても良い香りなんですが、
香料などは入っておりませんので、他の材料と同調しやすいです。
それが良い時もあるけれど、今回は主役にしたかったので、オレンジ、レモンもシチリア産のものにしまして、隠れないようにしました。
リモンチェッロは皮を漬け込むので、酸っぱいお酒というわけではありません。
レモン果汁のみにすると、酸っぱいだけのシロになり、
水などで伸ばしても、味わいが全くなくなるので、オレンジベースとしました。
トリプルセックでアルコールを補い、度数を6.1度まで上げました。
ちなみにトリプルセックは、
“ティテルーズ・トリプルセック”
たまにある、ツン、ガツンのサヴァランではなく、
カクテルのような、食べ始め中盤くらいからアルコールを感じられるように調整しました。
とはいえ、6度であってもツンとくるものもあり(安いアルコール飲料といえば、一般の方もわかると思いますが)、
そんな感じにならない良いお酒です。
このシロを、
めいっぱい吸わせると、左が右のようになります。これだけでも十分美味しいんですけどね。
ガトーと考えると、味わいに物足りなさが出てくるのは否めません。
なので、生クリーム、カスタード、バヴァロアなどを一緒に組み込んでいくのですが、
それは次回ということで。
『サヴァラン ルッソ リモンチェッロ』 (2014) 2