パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

シュー生地の調整は卵でするのが正しいか

   

_MG_4084シュー生地を作る時、程よい硬さになるように、
最後の調整を、卵でするのが一般的です。

なぜ卵なのでしょうか。
卵を入れると、そもそもの出来上がりの膨らみ・硬さに、
影響がでてしまうのではないでしょうか。

硬さが変わる理由

シュー生地を作る時、硬さが変わる原因は、下記の通りです。

・水分蒸発量が違う。
・出来上がりの温度が違う。

上記2つです。

「小麦粉の水分量が違う」とか「天候や湿度で変わる」というのは、
正しくないと思っています。
その2つを意識して作っているといえば、プロらしく格好良く見えますけどね。

先に、この2つから説明しておきますね。

小麦粉の水分量が違う

小麦粉の水分量は、そんなに大きく変わりません。
もし変わるとするなら、サブレの方が、大きな影響をうけます。

一般的なレシピで、小麦粉の配合率は、
サブレで約35~40%、シューで約20%ほどです。
サブレの生地が出来上がったとき、毎度硬さが違うな、と思ったことないですよね?
水分調整もしませんし。

小麦粉が、少しは湿気を帯びるのかもしれません。
であれば、湿気たり、乾燥したりしてる訳ではありませんから、
シューの仕込みの度に、水分が減ったり増えたりするのは、おかしいですね。

天候や湿度で変わる

湿度は、夏場で50%ほど、冬場で30%ほど、でしょうか。
メレンゲ菓子を焼いて置いておくと、
夏場や雨の日では、湿気でべたついてきます。
乾燥していて、且つ糖度が高い為、湿気を帯びやすいものでも、
その程度です。

シュー生地にそんな糖度はありません。

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水分蒸発量が違う

それでは、硬さが変わる原因を順にみていきましょう。
まず、水分の蒸発量が違う、という点です。

小麦粉を投入する前の段階

例えば、同じ鍋と同じ火の強さで、
100gと200gの水を沸騰させたとき、
沸騰後の水の量は、同じ割合に減りません。

100gの水が10%減って90gになっても、
200gの水は180gになりません。

水の量に対しての火の強さで、
過大過小があるからです。

ですので、レシピの総量を変更した時、
同じ総量でも火の強さを変えた時などは、
沸騰後の水分量は変化しています。

生地を再加熱するとき

小麦粉を投入した後、糊化をしっかり行なう為に、
生地を再加熱します。

この時、目測であるために、再加熱の時間が異なります。
そうすると、水分の蒸発量が変わります。

出来上がりの温度が違う

次のシュー生地の硬さの違いの原因が、
出来上がりの温度です。

これは、温かいほど良いと思っている方が多いのではないでしょうか。
冷えると、膨らまないというようにも言われていますよね。

膨らまない程冷える、というのは、
バターが固まるほどの温度からです。
通常の仕込みでは、変わりません。

変わるとするなら、シュー生地の絞り始めと終わりで、
膨らみが全く変わるでしょう。そんなことありませんよね。

むしろ温かすぎると、ゴムヘラからもだらっと流れやすく、
絞った後も扁平になりやすいです。

生地の温度に影響があるのは、室内の温度と卵の温度です。

トゥルモンドのシュキュランは、
卵の温度を20~22℃、出来上がりの生地の温度40~45℃に決めています。
絞っていくうち、30℃くらいまでには温度は下がっていきます。

もし室内の温度が季節によって、大きく変わってくるなら、
卵の温度を調整します。

出来上がりの温度をこれに決めているのは、
絞った後だれることなく、形よく膨らむからです。

まとめ

以上が、生地の硬さが変わる原因です。
卵の量を変えてしまうと、レシピ自体が崩れるのですから、
それ以外の部分をしっかり意識したいですね。

ゴムべらで三角形というのは、かなり曖昧です。
気分によって、硬い柔らかいという判断が変わるでしょう。

トゥルモンドでは、そんな見方はしません。
卵の量も一定です。

膨らみが変わるなら、
再加熱不足か、卵の入れ方でしょうね。

次回は、その点について、少し説明しますね。

そうそう、表題の「シュー生地の調整は卵でするのが正しいか」ですが、
減らすのは、卵の量を減らすしかありませんが、
増やすなら、ぬるま湯で良いと思いますね。水分が減っているのですから。

そして、そもそもそうならないように、
作り方を一定にし、温度に気を付けるべきですね。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

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