パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

パータ・サブレ(クッキー)や
パータ・シュクレのバターの硬さ

      2016/02/18

_MG_4455プロの方も聞いてほしい。

プロの場合のバターの硬さ

サブレ(クッキー)の生地(パータ サブレ)や、
タルトの器の甘い生地(パータ シュクレ)を作るとき、
バターは柔らかくしていますか?

よく、指がすっと入るくらいの硬さにすると言われますよね。

業務用ミキサーで作るプロのパティシエであれば、
バターの硬さは冷蔵状態のままで、
作り始めることをお勧めします。

業務用ミキサー

出来上がりの生地の温度が高いと、
取扱いが困難となるからです。

扱いやすく

バターの可塑性(自由に形を変えられる性質)がある状態で、
砂糖や卵などの材料を練りこんでいきます。

作業している間に、室温、ミキサーの摩擦熱、
材料の温度などがバターに加わり、
生地の温度が、室温または室温以上になっていきます。

ですので、スタートの温度が高ければ高いほど、
出来上がりの生地の温度が高く、だれたものとなります。

冷やせばある程度締まりますが、
低い温度で作り上げた生地との差は、歴然です。

プロとアマでは、使用量が違う

手作業で作る場合には、
バターが硬いと混ぜ合わせることが困難なので、柔らかくします。
出来上がりの生地は、すぐに柔らかくなります。

すぐに柔らかくなる事によるメリットもあります。
1個のタルトを作る時は、
すぐに作業に取り掛かれて、伸ばしやすく、
型にすぐ敷き込むことができます。

しかし、プロは1台分ずつ生地を伸ばすわけではありません。
リバースシーターなどの業務用機械を使い、
10~20台分のタルト生地を伸ばしたりします。
しかも厚さも薄く伸ばします。

リバースシーター

生地が柔らかすぎると、薄く伸ばせず、
波打ったり、ぼろぼろに切れてしまいます。

そうでなくても、柔らかいとグルテンが強くなり、
焼き縮みを起こすこととなります。

プロの場合は、
伸展性をできるだけ維持した生地を作成しなければなりません。
なので、冷たいバターから作り始める方が良いのです。

Sponsored Link

気を付ける事

バターが硬いことにより、起こる一番の失敗は、
バターのダマができる事です。

<ダマを作らないようにするポイント>
・バターをビーターでほぐしてから、まずは砂糖を加えていく。
・砂糖とバターをしっかり混ぜ合わせてから、他の材料を加えていく。
・使用済みの生地を加える場合には、まずその生地をほぐしておき、
 砂糖がしっかり混ざったバターの段階で、加える。
・砂糖が混ざった状態でも、他の材料よりは硬いので、
 こまめに全体を混ぜ返しながら、作業を進める。

ビーター
※ホイッパーだと、壊れてしまいます。

_MG_4463ダマができないよう、注意しながら生地を仕込んでいきます。

サクサクにするポイントの一つ

出来るだけ冷たい状態のままで作業していくと、
グルテンができるのを抑えていく事ができます。

焼き縮みはグルテンによるものなので、
強く形成されると、硬い食感となってしまいます。

ですので、グルテンを抑えることによって、
サクサクした食感を維持することができます。
(合わせて読みたい
『ショートニング無しで、サクサクのサブレを作る方法』

まとめ

プロとアマでは、作業の目的も量も環境も違う為、
それにあった製法を取ります。
プロの場合は、せっかく高価な作業用機械を導入しているので、
それを活かした製法をとっていきたいですね。

レシピの最新版を公開しています。

https://note.mu/sakashita

 - 製菓理論 , ,