パティシエ 坂下寛志 Pâtissier Sakashita Hiroshi

フィナンシエには、水溶化卵白を使うべきか。

      2016/03/21

_MG_0853フィナンシエに使用する卵白は、
数日置いて水溶化した卵白を使うのが良い、とされています。

コシが切れやすく、
食感もフィナンシエ特有のもろい食感になる、
と言われています。

トゥルモンドのフィナンシエは、
上記の理由に疑問を持っているため、
こだわりなく、新鮮な卵白でも、普通に使っています。

水溶化とメレンゲ

卵白を冷蔵庫で数日置くと、どろっとした状態から、
少しさらっとした状態になります。
これが「水溶化」です。

これをメレンゲにすると、
たしかに早くできあがります。

しかし、それよりも、一緒に配合する砂糖の量の方が影響を受けやすく、
手作業ではなく、電動ミキサーでホイップするので、
あまり気になる程度ではありません。

また、メレンゲの目の細かさは、
「温度」と「砂糖の量」と「ホイッパーの細かさ」によるので、
水溶化にあまり意味はありません。

コシは切っておく必要は無い

水溶化していると、その時点でコシは切れています。

フィナンシエを作る場合には、卵白を温めます。
温度が冷たいままだと、その後のバターを入れる際に、乳化しないからです。

大体35℃以上くらいまで、ホイッパーで混ぜながら温めていますが、
それで、新鮮な卵白でもコシは切れてしまいます。サラサラです。

確かにコシがある状態では、
材料が混ざりづらいだろうな、とは思うのですが、
作業上、切れてしまう為、先に水溶化させておく必要はありません。

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特有のもろい食感

_MG_9701もろい食感は、卵白の水溶化によるもの、
というのも、正しくないのではないかと思っています。

もしそうであれば、
新鮮なものと水溶化したものとでは、
フライパンで焼いただけでも、
食感に大きな違いが出るはずです。
片やプリプリで、片やぼろぼろしたようなものになるとか。

フィナンシエには、他にもたくさんの材料が入るので、
全体の30%程度の配合率で、
しかもその水溶化しているしていないで、
食感にそこまで影響が出るとは、考えづらいです。

もろい食感は何で出るか

では、もろい食感は、何が影響するか。
私は、「アーモンドパウダーの量」と「グルテン」と考えています。

アーモンドパウダーの量

アーモンドパウダーは、バターや卵白や小麦粉のように、
温度によって、単独では固まりません。
ですので、多く入れるほど、もろい食感となります。

グルテン

グルテンとは、小麦粉特有のたんぱく質で、
弾力性と粘着性があります。

小麦粉によって、そのたんぱく質量は変わります。
参考‥使用小麦粉まとめ
多ければグルテンも多く出やすく、結合もしっかりするので、
弾力があり、噛みきれないゴムのような食感に近くなります。

たんぱく質量の少ない小麦粉を選べば、それで良いか、
という訳ではありません。

焦がしバターを最後に加えますが、
これを加える前に、しっかり混ぜると、グルテンが出ます。

ですのでグルテンが出ないようにする為に、
まだ小麦粉が混ざりきる前くらいに、バターの30%程度の量を加え、
このタイミングでしっかり混ぜます。
バターの油脂は、グルテンの形成を阻害するからです。

以上より、小麦粉の種類・配合量と製法を見直すことで、
グルテンが出来るのを極力減らすことが、大切かと思います。

まとめ

というわけで、わざわざ水溶化させなくて良いと考えています。
トゥルモンドには、フィナンシェが5種類ほどあります。
(単品購入できるのは、バニーユエクセランとメイプルのみ。)

バニーユエクセランはもろい食感ですが、
ピスタチオはそうでもなかったりもします。
これは、ただその方が美味しいと思っているからです。

フィナンシェだから、もろい食感でなくてはならない、
と決めつけなくても良いと思います。
まあ、基本のバニーユは比較もされやすいので、
もろくしておいた方が無難ではありますが。

トゥルモンドのバニーユエクセランは、
もろい食感も含めて、最高の味わいだと思っているので、
ぜひお試しください。
参考‥『フィナンシェ バニーユ エクセラン』

話は少し変わりますが、
卵白を数日置いたからといって、不衛生な訳ではありません。
参考‥イタリアンメレンゲは殺菌できているか
食中毒が起こるのであれば、それはまた違う理由です。

3つ

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